シュミット・パール

シュミット・パール：政治家、元フェンシング選手、そして盗用疑惑

シュミット・パール（Schmitt Pál）は、1942年5月13日生まれのハンガリーの政治家であり、元フェンシング選手です。彼はハンガリー第4代大統領を務めましたが、論文盗用疑惑が浮上し、その職を辞任しました。政治家としての活動の他に、ハンガリーオリンピック委員会会長や駐スペイン大使といった要職も歴任しています。

多才な人物

シュミット・パールは、母国語であるハンガリー語に加えて、英語、ドイツ語、フランス語、スペイン語、ロシア語にも堪能です。これらの語学力は、彼の国際的な活動を支える大きな力となりました。

スポーツ選手としての経歴

ブダペストの中流家庭で育ったシュミットは、1955年にフェンシングを始めました。国内選手権大会で何度も優勝し、その才能を開花させます。1960年に高校を卒業後、ブダペシュト・コルヴィヌス大学で国内貿易の学位を取得。1968年からは、ハンガリー代表フェンシング選手としてオリンピックに数回出場し、1968年メキシコシティオリンピックと1972年ミュンヘンオリンピックでは、エペ団体で金メダルを獲得しました。1977年に現役を引退するまで、国内ランキング2位を維持し続けました。

政治家としての経歴

スポーツ界での活躍後、シュミットは政治の世界へと足を踏み入れます。1993年から数年間、駐スペイン及びスイス大使を歴任。1999年から2007年まで、世界オリンピアン協会の会長を務めました。2002年にはブダペスト市長選挙に立候補しましたが、落選。2003年には、フィデスの副党首に就任しました。2009年のハンガリー欧州議会選挙ではフィデスから出馬し、欧州議会議員に選出。同時に、欧州議会副議長にも選ばれました。2010年のハンガリー議会選挙後には、短期間国会議長を務めています。

大統領就任と辞任

2010年に行われた大統領選挙で、シュミットは対立候補を破り、ハンガリー大統領に選出されました。大統領就任後、2012年に発効したハンガリー基本法に署名を行っています。しかし、2012年1月、センメルヴェイス大学での博士論文における盗用疑惑が浮上。当初、大統領府は疑惑を否定しましたが、ブルガリアのスポーツ専門家やドイツのスポーツ社会学者の著作からの盗用が発覚しました。この盗用疑惑により、シュミットは大統領の職を辞任せざるを得なくなりました。

辞任後

大統領辞任後も、シュミットはIOC会員の座を維持しています。2014年には博士号取得を断念し、SDGsによるスポーツの影響についての論文でセンメルヴェイス大学の学位取得を目指すと語りました。2018年には、ブダペストで開催されたレスリング世界選手権にIOC会長に同行する姿も見られました。

まとめ

シュミット・パールは、フェンシング選手としてオリンピックで金メダルを獲得し、その後政治家としてハンガリー大統領にまで上り詰めた人物です。しかし、論文盗用疑惑によってそのキャリアに大きな傷がつき、大統領の座を辞任するという結末を迎えました。彼の経歴は、栄光と挫折が入り混じった複雑なものと言えるでしょう。

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