シュライバーサイト

シュライバーサイト：隕石から見つかる希少なリン化鉱物

シュライバーサイト((Fe, Ni)3P)は、正方晶系に属する珍しい鉱物です。その名は、この鉱物を鉄隕石において最初に記述した一人であるオーストリアの博物学者、カール・フランツ・リッター・フォン・シュライバーに由来しています。

地球上での産出と起源

シュライバーサイトは、地球上では非常に稀な鉱物であり、ほとんどが鉄隕石中に含まれて発見されます。地殻中での生成は極めてまれです。これまで、スロバキアのメテオライトであるマグラ隕石や、ロシア東部のシホテアリニ隕石などから発見されています。また、月面からも発見されており、地球外起源の鉱物であることが示唆されています。

物理的性質

シュライバーサイトは、鉄とニッケルのリン化物から構成されるユニークな組成を持ちます。色は銅色や真鍮色から銀白色までと変化に富み、金属光沢を呈します。完全な001劈開を示し、硬度は6.5～7、密度は7.5と比較的高い密度を持っています。条痕の色は濃灰色で、不透明です。

科学的意義

シュライバーサイトは、地球化学や惑星科学の分野において重要な研究対象となっています。アリゾナ大学で行われた研究では、シュライバーサイトをはじめとするリンを含む隕石鉱物が、地球上の生命にとって必須であるリンの供給源として重要な役割を果たした可能性が示唆されています。これは、地球初期における生命の誕生に隕石が関与していたという仮説を支持する重要な証拠となります。

さらに、2021年にはエール大学の研究チームが、落雷によって生成されたシュライバーサイトに着目した興味深い研究成果を発表しました。この研究では、特定の種類の粘土質土壌において、落雷によって年間0.11～11トンものリンがシュライバーサイトとして生成される可能性が指摘されました。これは、地球上のリン循環における落雷の貢献を明らかにする上で重要な発見です。

まとめ

シュライバーサイトは、その希少性、特異な組成、そして地球生命や地球化学における潜在的な役割から、科学的に非常に興味深い鉱物です。隕石研究や地球外物質の分析、さらには地球上のリン循環に関する研究において、重要な情報を提供する鉱物として、今後も研究が続けられるでしょう。 今後の研究によって、シュライバーサイトが地球科学や生命科学の様々な謎を解き明かす鍵となる可能性があります。

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