ショヤコウジ兄弟の戦い

ショヤコウジ兄弟の戦い

ショヤコウジ兄弟の戦い（-きょうだいのたたかい）は、1515年または1519年に北海道南部で発生しました。この戦いでは、アイヌ首長であるショヤコウジ兄弟と、渡島半島南西部を支配していた蠣崎光広が対立しました。

ショヤコウジ兄弟の蜂起

この戦いの前触れとなったのは、ショヤコウジ兄弟の渡島半島東部における蜂起です。彼らは、南西部を支配する蠣崎氏に対して攻撃を開始しました。敵勢力の光広は、劣勢の中で巧妙な策略を練りました。彼は和睦を装い、兄弟を本拠地の松前大館へ酒宴に招待します。そこで光広は、兄弟を酒に酔わせたうえで、朋輩を欺くための演出をしました。彼すなわち、宝物を差し出すフリをして、兄弟たちの警戒心を解き、油断させます。

さらに、木槌の音を利用して騙し討ちの準備を行い、隙を見て特製の仕掛け戸の behind から彼らを襲撃するという計画が成されました。結果、光広によってショヤコウジ兄弟は襲撃され、斬殺される事となります。同時に、他のアイヌも光広の軍勢により命を奪われてしまいました。光広が使用した刀は、家宝の来国俊であり、これは彼の父信広が受け取ったものでした。

この戦いの結果、多くのアイヌが命を落とし、ショヤコウジ兄弟をはじめとする犠牲者は、館の近くに埋葬され、後に「夷塚」として崇められました。伝説によれば、その後もアイヌの人々が講和を期待する際に、夷塚からかすかに声が聞こえるとされました。

戦いの背景

ショヤコウジ兄弟の蠣崎氏への攻撃は、1496年にさかのぼります。この年、アイヌ軍が茂別館を攻撃し、城主であった安東家政は逃れることとなりました。また、渡島半島南東部に存在していた三つの館（宇須岸、志濃里、与倉前）もアイヌによって陥落し、城主たちが死亡しました。これらの出来事は、松前藩の史料『新羅之記録』では1512年の事件とされていますが、考古学的調査によって、志苔館は15世紀前半に関連する遺跡が発見されています。このことから、年代的な不一致が生じています。

また、戦いにおいて死亡した城主たちは、コシャマインの戦いで死亡したとされる河野政通や小林良景の子孫と伝えられています。これらの情報から、史料の年代に関する指摘がなされています。さらに、当時松前大館を拠点としていた相原氏に対する蠣崎氏の計略が背景に存在したとも言われています。

1513年には大館が陥落し、城主の相原季胤や村上政義が討ち取られました。この攻撃はアイヌ軍によるものではなく、蠣崎氏の軍勢によるものと考えられています。その後、蠣崎氏は大館に入城し、新たな松前守護として安東尋季に承認を求めましたが、当初の要求は拒否されました。しかし、商船や旅人から徴収した税の過半数を檜山安東氏に収めることで、妥協が成立したのです。

結論

ショヤコウジ兄弟の戦いは、アイヌと蠣崎氏の間に生じた緊張関係を象徴する重要な歴史的出来事です。この戦いを通じて、アイヌの抵抗と生き残り、また日本の歴史における地域権力の動向が織りなす複雑な様相を理解するうえで、貴重な一章となっています。

もう一度検索