ショート・ターミズム

ショート・ターミズムとは

ショート・ターミズム（Short-termism）とは、短期的な利益や成果を意識し、長期的なビジョンや結果を軽視する傾向のことを指します。この考え方は特に企業や投資家に関連しており、「短期主義」や「近視眼的経営」という言葉でも表現されます。企業が短期的な業績を重視することは、しばしば長期的な投資や戦略と対立し、その結果、持続可能な成長を妨げることがあります。

ショート・ターミズムの影響

ショート・ターミズムは、企業において特に凸顕している問題です。経営者が短期間しか在任しない場合、自らの任期中に見える成果を出そうとする余り、長期的な視点を無視してしまうことがあります。これにより、例えば四半期ごとの業績報告書の数字を良く見せることに重きを置いたり、短期的な利益を追求するあまり、未来への投資や従業員の育成を犠牲にしてしまう可能性があります。

また、ショート・ターミズムは政治の世界でも影響を及ぼします。一つの政府の任期内に効果が見えにくい政策への投資が後回しにされ、必要な改革がなかなか実行されないことがあります。これにより、長期的な社会的課題が放置される恐れがあります。

ショート・ターミズムと金融危機

2008年前後の世界金融危機をきっかけに、ショート・ターミズムの悪影響がより広く認識されるようになりました。イギリス政府は、ジョン・ケイ教授に依頼して「ケイ・レビュー」を発表しました。この報告書は、株式市場が企業経営者に短期的な利益を求めることが、企業の長期的成長を妨げていると指摘しました。

さらに、2014年に発表された「伊藤レポート」では、日本企業の持続可能な成長に対する要因として、ショート・ターミズムが挙げられました。これは、企業が短期的な成果に追われるあまり、必要な投資を避けてしまう結果につながることを示唆しています。

現在バイアスとショート・ターミズム

BBCの記者リチャード・フィッシャーは、ショート・ターミズムを「現在バイアス」（present bias）と関連づけて考えています。このバイアスとは、人間が長期的な報酬よりも短期的な利益を好む傾向を指し、ショート・ターミズムがこの心の動きに起因する部分もあるという見解です。

結論

ショート・ターミズムは企業や投資家の短期的な利益追求が招く問題であり、長期的な成長や社会的課題への影響を考慮しない姿勢は多くのリスクをはらんでいます。この問題を解決するためには、企業や政府が長期的なビジョンを持ち、それに基づいた行動を取ることが不可欠です。持続可能な成長のためには、短期的な成果を超えてれの視野を持つことが求められます。

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