近視

近視（きんし）についての詳細

近視とは、眼球が光を正しく屈折させず、その結果、遠くの物がはっきり見えない状態のことを指します。この状態は、主に眼球の形状や屈折力の異常から生じるとされており、一般的には屈折異常の一つに分類されています。近視の別名には「近眼（ちかめ）」があります。近視が存在すると、遠くのものを視認する際にぼやけて見えるため、日常生活において多少の不便を伴いますが、近視自体は通常、網膜や視神経の疾患とは関係ありません。

近視の発生メカニズム

近視は、誕生から20代前半にかけて、眼球が成長を続ける中で変化します。この時期には、個々の生理的な条件に応じて遠視から近視へと変化することが見受けられます。具体的には、強い遠視を持っていた場合にはその度合いが弱まり、逆に弱い遠視を持つ場合は、近視へと進展することがあります。最終的な屈折状態は、生まれつきの遠視の強度と、成長期中の変化の度合いによって決まります。

この変化の直接的な要因としては遺伝の影響が大きいと考えられています。近視を遺伝する要因は60%から90%の高い割合であるとされていますが、環境要因も無視できない状況です。特に、最近では環境の変化や生活様式の変化が近視の有病率を高めていると指摘されています。例えば、小中学生の間での近視の割合は年々増加しており、これにはデジタルデバイスの使用時間増加や、屋外での活動時間の減少が関与しています。

近視の種類

近視にはいくつかの種類があり、主に以下のように分類されます。

1. 屈折性近視: 角膜や水晶体の曲率が強いため、焦点が網膜より前方に結ぶ。
2. 軸性近視: 眼球が前後に長くなることで、網膜よりも前方に像が結ぶ。遺伝的要因が大きく、重度の場合には網膜剥離のリスクがある。
3. 偽近視: 一時的に近視のような状態になるもので、主に眼の疲労が原因。視力が回復することがあるため、通常は深刻な問題ではありません。
4. 核性近視: 老人性白内障に伴って近視化することがあります。

また、臨床的には近視は「単純近視」と「病的近視」に分けられることが多いです。

近視の症状と影響

近視の主な症状は、遠くの物が見えにくいという点です。度合いが強くなると、はっきり見ることができる範囲が近くなっていきます。特に強度近視の場合、網膜に映る像が大きくなり、視覚的な歪みが生じることもあります。これは、網膜像が大きくなってしまうためで、眼鏡で矯正することである程度は改善されますが、完全には相殺されないため、視覚の歪みが残ることがあります。

近視の原因

近視の原因には、遺伝的要因と環境要因があります。最近の研究では、環境の影響が近視に与える効果も重要視されています。例えば、長時間の学習や近くの物を見続ける時間の増加は、近視の進行を促進する要因として挙げられます。また、屋外での光を浴びる時間が不足していることも関与している可能性があります。屋外での活動を増やすことで近視の発生率が低下することが示されており、学校での時間の使い方が重要であることが分かっています。

近視の予防と矯正

近視の予防には、以下のようないくつかの方法が検討されています。

• - アトロピン点眼: 調節筋を麻痺させて近視の進行を抑える方法ですが、安全性については慎重な議論があります。
• - オルソケラトロジー: 特殊なコンタクトレンズを使い、夜間の装用によって角膜を変形させ、近視を矯正します。
• - 視力回復手術: PRKやレーシックなどがあり、角膜を薄くして屈折を調整します。

これらの方法は、個々の状況や近視の度合いによって最適なものが選ばれるべきですが、予防策として屋外活動を重視し、コンピュータ作業や読書の合間に目を休めることが推奨されています。近視の進行を防ぐためには、早期の対策と定期的な視力検査が重要です。

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