シラー (ブドウ)

シラー：スパイシーな香りが魅力の赤ワイン用ブドウ品種

シラー（Syrah）は、フランスのコート・デュ・ローヌ地方を原産とする、国際的に人気の高い赤ワイン用ブドウ品種です。オーストラリアをはじめとするニューワールド諸国では、シラーズ（Shiraz）の名で広く知られています。

起源

シラーは、ローヌ地方北部でモンドゥーズ・ブランシェとデュレーザが自然交配して生まれたとされています。デュレーザはピノ種の血を引いており、ヴィオニエとは2親等の関係にあたります。

オーストラリアへは、1832年にジェームズ・バズビーによって初めて持ち込まれました。当初はScyrasと呼ばれていましたが、変化してシラーズと呼ばれるようになったとされています。オーストラリアでの成功を受け、新興国でもシラーズと呼ばれることが多くなりました。

関連品種

カリフォルニアで栽培されているプティ・シラーは、プルサンとシラーの交配によって生まれた品種です。フランスで発見された当初はデュリフと呼ばれていましたが、アメリカに渡りプティ・シラーとして知られるようになりました。

栽培

シラーは生育が旺盛なため、適切な管理が欠かせません。高温に比較的強く、冷涼な気候でも日照時間が確保できれば栽培可能です。

生産地域

シラーは世界中で栽培されており、国際品種としての地位を確立しています。2016年時点では、黒ブドウ品種としてカベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、テンプラニーリョに次いで4番目に広い栽培面積を誇ります。1990年から2010年の間に栽培面積は5倍以上に増加しており、その人気はますます高まっています。

フランス

原産地であるコート・デュ・ローヌ地方北部は、シラーの銘醸地として知られています。ここでは、長期熟成に耐えうる高品質なシラーが生産されています。ローヌ北部の花崗岩質の土壌はシラー栽培に最適であり、AOCで使用が許可されている黒ブドウはシラーのみです。ただし、ヴィオニエ、ルーサンヌ、マルサンヌといった少量の白ブドウが混醸されることもあります。

ローヌ地方南部では、グルナッシュやムールヴェードルなどのブドウ品種とブレンドされるのが一般的です。

ラングドック・ルーション地方は、フランス国内で最もシラーの生産量が多い地域です。ローヌ南部と同様に、ブレンドして使用されることが多くなっています。

オーストラリア

オーストラリアでは、シラーズがブドウ品種として生産量・栽培面積ともに第1位を誇ります。特に、南オーストラリア州のバロッサ・ヴァレーは、シラーズの栽培に適した地域として有名です。シラーズとカベルネ・ソーヴィニヨンのブレンドもよく見られます。

その他

チリ、アルゼンチン、南アフリカ、アメリカのカリフォルニア州やワシントン州などでもシラーは広く栽培されています。チリやアルゼンチンでは、「シラー」と呼ぶ生産者が多い傾向にあります。ヨーロッパでは、スペインやシチリア島を中心としたイタリアで栽培が盛んです。

ワインのスタイル

シラーは、胡椒のようなスパイシーな香りが特徴的です。この香りは、ロタンドンというテルペンの一種であることがわかっています。冷涼な地域では、スミレの花のような香りも感じられる、エレガントなワインとなります。温暖な地域では、プラム、チョコレート、甘草などの香りが際立つ、濃厚なワインに仕上がります。

豊富な果実味とスパイシーな香りから、ラム肉、牛肉、ジビエなどの肉料理との相性が抜群です。

関連項目

ブドウ品種の一覧
ブドウ
* ワイン用葡萄品種の一覧

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