グルナッシュ

グルナッシュ：多様なブレンドで魅力を放つ赤ワイン用ブドウ

グルナッシュ（Grenache）は、スペイン北東部のアラゴン州を原産とする、赤ワイン用ブドウ品種です。スペインではガルナッチャ（Garnacha）という名で知られ、ガルナッチャ・ティンタやアラゴネスといった別名も持ちます。また、イタリアのサルデーニャ島ではカンノナウと呼ばれています。グルナッシュ・ブランやグルナッシュ・グリは、このグルナッシュの変種です。

栽培の特徴

グルナッシュは晩熟な品種で、温暖で乾燥した気候に適しています。樹勢が非常に強いため、高品質なワインを造るには収量制限が不可欠です。また、糖度が上がりやすい性質から、ワインのアルコール度数が高くなる傾向があります。

主な生産地域

グルナッシュは、夏が暑く乾燥した地中海地域で広く栽培されています。

フランス

南フランスのコート・デュ・ローヌ南部では、シラーやムールヴェードルなどとブレンドされ、赤ワインやロゼワインの主要品種として用いられます。ラングドック・ルーション地方やプロヴァンス地方でも、赤ワインやロゼワインのブレンドに利用されています。また、ルーション地方などで造られるヴァン・ドゥー・ナチュレルにも多用されています。

スペイン

スペインでは、ガルナッチャはテンプラニーリョに次いで2番目に多く栽培されている黒ブドウ品種です。アラゴン州のほか、ナバーラ州やカタルーニャ州で栽培されており、カタルーニャ州の高級ワイン産地であるプリオラートでは主要品種として用いられています。

イタリア

サルデーニャ島では、カンノナウという名前で広く栽培されています。近年の研究では、この品種の原産地がサルデーニャ島である可能性も指摘されています。

その他の地域

アメリカ、オーストラリア、南アフリカなど、温暖な地域でも栽培されています。

ワインのスタイル

グルナッシュはタンニンや酸味が少ないため、他の品種とブレンドすることでバランスを整えることが一般的です。特に、ローヌ南部でよく見られるグルナッシュ、シラー、ムールヴェードルのブレンドは、各品種の頭文字をとってGSMと呼ばれ、人気を博しています。スペインでは、テンプラニーリョやカリニャンとブレンドされることが多いです。タンニンと酸味が少ないことは熟成には不利な要素ですが、ブレンドによって熟成のポテンシャルが高まり、長期熟成に耐えうる高品質なワインも生まれます。

グルナッシュは、その多様なブレンドと温暖な地域での栽培によって、世界中で愛されるブドウ品種となっています。

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