シリアナ

シリアナ（Syriana）

『シリアナ』は、2005年に公開されたアメリカの映画であり、架空の中東諸国「シリアナ」を舞台に、石油利権を巡るさまざまな人間ドラマを描いた作品です。この映画は、CIA工作員ロバート・ベアの告発本『CIAは何をしていた?（See No Evil）』を基にして制作され、主演のジョージ・クルーニーは、アカデミー助演男優賞やゴールデングローブ賞助演男優賞を受賞しました。

ストーリーの概要

物語は、中東の重要な産油国を舞台に展開します。元CIA工作員のボブ・バーンズ（ジョージ・クルーニー）は、息子ロビーの大学進学を機に現場から退く決心をしていましたが、最後の任務として新たな作戦を指示されます。彼の引退を前に、アメリカの石油利権が絡む複雑な状況が進行していました。

一方、スイスでエネルギー業界のアナリストとして働くブライアン・ウッドマン（マット・デイモン）は、王族主催のパーティーで息子を失うという悲劇に見舞われます。この出来事を契機に、ウッドマンは同国の王位継承者ナシール王子の相談役に任命され、イランとの関係を通じた天然資源の輸出を進言します。ナシール王子はアメリカに依存しないエネルギー政策を推進し、中華人民共和国の企業との協力を模索することになります。

この状況によりアメリカ資本のコネックス社は、経営が悪化する危険に直面し、同社はキリーン社との合併を余儀なくされます。この合併の法律調査を担当する弁護士ベネット・ホリデイ（ジェフリー・ライト）は、政財界からの圧力を受け、調査の実施が困難になります。情報が錯綜する中、コネックス社の重役たちはナシール王子に近づき、アメリカの利権を保つために暗躍します。

また、合併の影響でコネックス社で働く出稼ぎ労働者ワシーム（マザール・ムニール）は解雇され、転職先を見つけられずに困窮します。彼の元に、過激派グループのメンバーが接近し、イスラムの教えをかたって意図的に彼を扇動しようとします。

主なキャスト

• - ボブ・バーンズ（ジョージ・クルーニー）: CIAの工作員。
• - ブライアン・ウッドマン（マット・デイモン）: エネルギー業界のアナリスト。
• - ベネット・ホリデイ（ジェフリー・ライト）: 法律事務所の職員。
• - ナシール・アル・スバーイ（アレクサンダー・シディグ）: 王子。
• - ワシーム・カーン（マザール・ムニール）: 出稼ぎ労働者。
• - ディーン・ホワイティング（クリストファー・プラマー）: 弁護士事務所代表。

『シリアナ』は、アメリカと中東の石油利権に織り成される複雑かつ緊張感のある人間関係を描いており、視覚的にも内容的にも非常に深いメッセージを持った映画です。石油という資源を巡る政治的な陰謀、経済的利益、そしてそれが市民の日常生活に及ぼす影響が、巧みに交錯して表現されています。

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