シリア国民連合

シリア国民連合の概要

シリア国民連合（英: National Coalition for Syrian Revolutionary and Opposition Forces、アラビア語: الائتلاف الوطني لقوى الثورة والمعارضة السورية‎）は、シリアにおいてバッシャール・アル＝アサド政権への抵抗を目的とした反体制派の統一的な組織です。初代議長にはムアーズ・アル＝ハティーブが選ばれ、その設立は2012年11月にさかのぼります。

設立の背景

シリアの内戦は2011年に始まりました。同年の夏、亡命シリア人を中心に反アサド政権の活動が盛り上がり、シリア国民評議会（SNC）が設立されました。この団体は、トルコを拠点にアサド政権の打倒を目指し、欧米諸国の支援を受けていました。しかし、SNCはシリア国内の他の反体制勢力との連携不足が指摘され、特にイスラム組織の影響力が強すぎるとの批判を受けていたのです。さらに、内部における路線対立もあり、SNCがアサド政権崩壊後の時代において新しい政府を形成する受け皿となれるかは疑問視されていました。

2012年10月、アメリカのヒラリー・クリントン国務長官は、SNCを反体制派の指導者とはみなしていない発言をしました。この発言を受けて、アラブ諸国や西側諸国はSNCに代わる新たな統一反政府組織の設立を促し、資金援助をちらつかせながら圧力をかけ始めます。11月初旬には、新組織の設立に向けた具体的な動きが始まることとなりました。

新組織の設立

国民評議会に対しても反発が生じ、修正を求める意見が出ていました。2012年11月5日にはカタールのドーハで、国民評議会の会合が開催され、議席の数をおよそ倍増させることや、シリア国内で活動している組織との連携を強化することが決められました。同時に、新しい議長にキリスト教徒のジョルジュ・サブラーが選出され、あらゆる批判に対して対処する姿勢を見せました。

しかし、11月11日のドーハでの会合で、国民評議会を含む各派は新たな反政府統一組織の樹立で合意しました。この新組織は、シリア国内外の反体制勢力を幅広く集結させ、軍事組織「自由シリア軍」を傘下に収めることを目指しています。これによりアサド政権の打倒と国際的承認を持つ暫定政権の樹立が志向されました。発足時のメンバーは約60人で、ムアーズ・アル＝ハティーブが代表に選ばれました。

国際的な受け入れ

新たに誕生したシリア国民連合は、2012年11月11日にアメリカが支援を表明。それに続いて、12日には湾岸協力会議（GCC）からシリアにおける正統な代表として承認されました。その後、アラブ連盟も反体制派の代表としての承認を発表し、幾つかの国での承認が進みました。特にフランス、EU、イギリスが相次いで承認し、アメリカも12月に正式に代表として認めました。

しかし、シリア国内においては必ずしも支持が広まっていたわけではありません。2013年10月には、80の反政府勢力が「シリア国民連合を反体制派の代表として認めない」との声明を出しており、和平協議における方針の不一致がその原因とされました。特にシリア国民評議会に対する批判は強く、実際に戦闘を行っている部隊の声が反映されない中で、国民連合の求心力は急速に薄れていました。

結論

シリア国民連合は、内戦の中で形成された複雑な背景を持つ組織であり、国際的な承認を得てはいるものの、国内での支持基盤や内部の意見反映が課題となっています。組織の活動がどのように展開されていくのか、引き続き注目が必要です。

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