湾岸協力会議

湾岸協力会議 (GCC) 詳細解説

湾岸協力会議（Gulf Cooperation Council、GCC）は、中東ペルシア湾岸地域に位置する6ヶ国による地域協力機構です。正式名称は「湾岸アラブ諸国協力会議 (Cooperation Council for the Arab States of the Gulf、CCASG)」で、1981年5月25日、アラブ首長国連邦のアブダビで設立されました。本部はサウジアラビアのリヤドに置かれ、加盟国間の経済協力、安全保障協力、社会文化交流などを推進しています。

主な活動内容

GCCの活動は多岐に渡り、経済協力、安全保障協力、社会文化交流など広範囲に及びます。経済分野では、通貨同盟の設立や域内貿易の促進、経済政策の調整などが主な柱となっています。2009年には、GCC通貨同盟の発足を決定しましたが、アラブ首長国連邦とオマーンは参加を見送りました。

安全保障分野では、湾岸地域の安全と安定を維持するために、軍事協力やテロ対策、サイバーセキュリティ対策などに取り組んでいます。特に、1991年の湾岸戦争では、合同軍を編成し、イラク軍のクウェート侵攻に対抗しました。また、2011年のバーレーン騒乱やイエメン内戦においても、軍事的な介入や和平交渉への関与などを通して、地域安定化に貢献しています。

社会文化交流分野では、教育、科学技術、文化交流などを通して、加盟国間の連携強化を図っています。人的交流の促進や共通の教育システムの構築なども重要な活動です。

加盟国と加盟交渉

GCCには、以下の6ヶ国が加盟しています。

アラブ首長国連邦
バーレーン
クウェート
オマーン
カタール
サウジアラビア

ペルシア湾岸地域に位置する全ての国が加盟しているわけではなく、地理的条件だけでなく政治的、経済的な要因も加盟に影響を与えていると考えられます。

一方、イラクは、湾岸戦争以前は準メンバーとしてGCCに参加していましたが、現在では非加盟です。しかし、イラク政府はGCCへの加盟を希望しており、加盟交渉の行方にも注目が集まっています。

イエメンも加盟交渉を進めていましたが、内戦の影響もあり、実現には至っていません。GCCは、アブド・ラッボ・マンスール・ハーディー大統領率いるイエメン政府を支援しており、内戦終結に向けた取り組みを続けています。また、ヨルダンとモロッコも加盟交渉中とされています。

設立の趣旨

GCC設立の主な趣旨は以下の通りです。

加盟国間の経済・金融・貿易・通関・観光・立法・行政における共通規制の確立
鉱工業・農業・水利・畜産資源の科学技術的進歩
科学研究センターの設立
ジョイントベンチャー（共同企業体）の設立
民間部門の協力推進
人的交流の強化推進
湾岸共通通貨「ハリージー（Khaleeji）」の導入（オマーンは導入時期に異議あり）

今後の展望

GCCは、湾岸地域の平和と安定、そして経済発展に重要な役割を果たしています。今後、イランの核問題やイエメン内戦といった地域課題への対応、さらには加盟国間の協力関係強化、経済統合の深化などが重要な課題となるでしょう。また、世界的なエネルギー情勢の変化や気候変動問題への対応なども、GCCの今後の活動に大きな影響を与えると考えられます。

関連事項

湾岸協力会議特許庁
* ガルフ鉄道 (加盟国を結ぶ鉄道計画)

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