シリア陸軍

シリア陸軍の歴史と役割

シリア陸軍、正式にはシリア・アラブ陸軍（Syrian Arab Army, SAA）は、シリアの軍事組織の主要な部門であり、陸軍としてはシリア軍全体の約80%を占める大規模な部隊です。その起源は、第一次世界大戦後のフランスによる委任統治時代にまで遡り、1945年に正式に独立したシリアによって発足しました。以来、シリア陸軍は様々な戦争や内戦に参加し、国内外で重要な役割を果たしてきました。

歴史的背景

シリア陸軍の起源は、1919年にフランスが設立したレバント特別部隊にさかのぼります。この部隊は、軍の指揮や高官職においてフランス人が占める一方、シリア人は将校としての限られた地位しか与えられず、十分な訓練を受けることができませんでした。1946年のシリア独立によって、正式に陸軍が構成されることになり、1954年から1970年にかけては、計6回の軍事クーデターが発生のほか、国境を越えてイスラエルとは4回、ヨルダンとは1度の戦争を経験しています。

内戦とその後の展開

シリア内戦が2011年に勃発すると、陸軍は政府側に立ち、反体制派と戦うことになります。初期には多くの兵士が脱走し、自由シリア軍を形成するなどの事件が起きました。分析によると、内戦開始以来、シリア陸軍の兵力は大幅に減少し、特にアラウィー派の将校が多くを占める中で、スンニ派の兵士の脱走が問題視されました。

さらに、政府の支持基盤であるアラウィー派は、次第に高い戦死率に対し軍への入隊を拒む姿勢を強めています。このような複雑な情勢において、政府側の特殊部隊や共和国防衛隊など他の軍事集団の役割が重要視されるようになってきました。

組織構造と戦力

シリア陸軍は、師団、旅団、連隊という階層組織に基づいており、主に機甲師団や機械化歩兵部隊から構成されています。近年では、戦闘環境や国際的な援助を受けて部隊の再編成が行われ、特にロシアからの支援が顕著になっています。

2010年代には、陸軍内で軍団の設立や特殊部隊の強化が行われ、彼らは主に一時的な特殊任務を遂行しています。シリア内戦中には、多くの新しい部隊が編成され、戦闘活動に従事するなど、シリア陸軍の構成は変化してきました。

現在の状況

シリア陸軍は、現在もさまざまな戦闘アクションを展開しており、特に反政府勢力との戦いで主導的な役割を果たしています。ただし、国内外での支援依存度が高く、軍の信頼性や士気に疑問を抱く声も多く残されています。それでも、陸軍は重要な国家の防衛機構として、地元や国際社会に影響を与え続けているのが現状です。

このように、シリア陸軍はその成り立ちから現在に至るまで、多様な歴史的背景と複雑な組織構造を持ち続けており、今後の動向にも注目が必要です。

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