シリキット

シリキット王太后の生涯



シリキット王太后（タイ語: สิริกิติ์、1932年8月12日 - ）は、タイ王国の王太后であり、故ラーマ9世国王の王妃、そして現ラーマ10世国王の母です。彼女は駐仏陸軍大将チャンタブリースラマート王子の娘として生まれ、ラーマ5世を共通の祖先とする王族の血筋を引いています。シリキット王太后は、プミポン前国王と共に、タイ国民から非常に尊敬され、愛される存在です。

幼少期と教育


1932年、バンコクで誕生したシリキット王太后は、4歳で幼稚園に入園しました。当時、タイは立憲君主制へと移行していましたが、世界情勢の変動により、バンコクは空襲の被害を受けることもありました。そのため、シリキット王太后は転校を繰り返し、その中でピアノレッスンを始めました。第二次世界大戦後、父親の都合でイギリスに移住し、13歳でグレード3を卒業。イギリスでは英語とフランス語を学び、ピアノのレッスンも続けました。その後、父親の赴任に伴いフランスに移り、パリの音楽学校でさらに学びを深めました。

タイ王妃として


フランス留学中、シリキット王太后は学業のために滞在していたプミポン国王と出会います。音楽と芸術に深い関心を持つプミポン国王の求めに応じてピアノを演奏したことが、二人の縁を結びました。1949年7月19日に婚約が発表され、1950年に結婚。結婚当初はモムラーチャウォン・シリキット・キティヤーコーンという称号でしたが、1954年にプミポン国王が一時的に出家した際、摂政を務めたことで、ソムデットプラナーンチャーオ・シリキット・プラボロムラーチニーナートという正式名称となりました。この名称は現在も用いられています。

なお、「シリキ」という表記が一部日本語メディアで用いられることがありますが、これは原語の発音に忠実ではなく、「シリキット」が正しい表記です。

歴代の呼称



公務と国民からの敬愛


1954年以来、シリキット王太后はタイ赤十字社の総裁を務めています。プミポン国王と共に、地方視察にも積極的に参加し、常に笑顔で国民に接する姿は、多くの人々に愛されました。彼女の誕生日である8月12日は、タイでは祝日に指定されており、「母の日」としても祝われています。

日本との関係


シリキット王太后は日本とも深い関係を築いてきました。1963年5月にはプミポン国王と共に日本を公式訪問したほか、1981年5月、1993年4月、1997年9月にも非公式で日本を訪問しています。2011年の東日本大震災の際には、プミポン国王と共に2600万円の寄付を行いました。これは、スマトラ島沖地震で亡くなった孫のプム・ジェンセンへの弔意と、日本の復興支援に対する感謝の思いが込められたものでした。

記念紙幣


シリキット王太后の肖像は、以下の記念紙幣に使用されています。


近年の健康状態


近年、シリキット王太后は入退院を繰り返しており、公の場に姿を見せる機会は少なくなっています。2012年には脳の血流不全により静養を余儀なくされ、2014年には白内障の手術を受けました。2015年には入院しましたが、その後、退院時には多くの国民が沿道に集まり、その姿を歓迎しました。2016年には熊本地震の際、プミポン国王と共に天皇陛下にお見舞いの書簡を送られました。また、同年には肺炎と血液感染により入院されました。

2016年10月13日にプミポン国王が崩御された際には、明仁天皇からシリキット王太后とタイ政府に弔電が送られました。その後、2016年11月29日に退院し宮殿に戻られましたが、2017年3月には明仁天皇がベトナム訪問の帰りにタイに立ち寄られ、プミポン国王の遺体安置所を訪問された際、シリキット王太后との対面はありませんでした。

2017年8月12日、85歳の誕生日を迎えられた際には、白髪になったお姿が公開されました。プミポン国王の葬儀にはご出席されませんでした。

子女


シリキット王太后は、ラーマ9世国王との間に、1男3女の4人のお子様を授かりました。


関連情報


  • - シリキット王妃殿下美術館

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