シリントーン国際工学部

シリントーン国際工学部（SIIT）について

シリントーン国際工学部（Sirindhorn International Institute of Technology, SIIT, สถาบันเทคโนโลยีนานาชาติสิรินธร）は、1992年に設立されたタイのタンマサート大学に属する独立高等教育機関です。運営や資金面ではタンマサート大学から独立しており、ラーマ9世の娘であるシリントーン内親王にちなんで命名されました。タイのパトゥムターニー県に位置し、科学、技術、工学、経営学など幅広い分野で教育を提供しています。

SIITは国際大学として、全ての授業が英語で行われています。LAOTSEネットワークを通じて、世界各国の高等教育機関と提携関係を築いています。

キャンパス

SIITは、タンマサート大学ランシット・キャンパスとバーンカディー・キャンパスの2つのキャンパスを運営しています。どちらもパトゥムターニー学術研究都市内に位置し、多くの国立研究機関や高等教育機関が集まっています。

ランシット・キャンパス

タンマサート大学ランシット・センター内に位置し、バンコクの北約40kmにあります。アジア工学部やタイランド・サイエンスパークに隣接しており、1998年のバンコクアジア大会では中心的な役割を果たしました。

バーンカディー・キャンパス

ランシット・キャンパスから約15km離れたバーンカディー工業団地内にあります。2002年に情報技術課程が、2003年には経営技術、機械工学、電気通信学などの課程がランシット・キャンパスから移転しました。情報通信技術関連の新しい課程も設置され、コンピュータ科学プログラムも提供されています。2004年には、シリントーン内親王の名を冠したシリンタラーライ・ビルが開設され、電気通信学、機械工学、機械電子工学の教育が行われています。

歴史

1989年、神戸で開催された日タイ経済協力会議で、英語を運用できる技術者の育成がタイの産業発展に不可欠であると提言されました。これを受け、博士課程修了者による高度な知識を持つ教員が英語で技術系課程を指導する高等教育機関の設立が計画されました。

1992年、経団連、タイ産業連合(FTI)、タンマサート大学の間で設立合意がなされ、経団連とFTIが資金提供を行い、タンマサート大学内に技術系課程が設置されました。1994年には国際工学部(IIT)からの資金提供を受け、シリントーン内親王がランシット・キャンパスの新築ビルに礎石を据えました。1996年にはラーマ9世の訪問があり、「シリントーン国際工学部」という名称が与えられ、1997年に正式に開園しました。2001年には、バーンカディー・キャンパスが開設されました。

運営

SIITはタンマサート大学の一部と見なされますが、組織的・経済的には独立しています。運営は、タンマサート大学、経団連、FTIの代表や、タンマサート大学が指名した研究者で構成される評議会によって行われます。学術研究に関しては、専門家からなるARC (Academic Review Committee)が助言を行います。SIITは4つの運営部局、図書館、情報サービスセンター、そして15の学部からなる6つのアカデミック・スクールで構成されています。

SIITは国立大学の一部でありながら、資金面で独立しているため、国からの財政支援を受けていません。そのため、経団連やFTIの基金、アジア開発銀行、タイ国立調査基金、個人の寄付などから資金を調達しており、学費も重要な収入源となっています。国からの補助がないため、他の国立教育機関と比較して学費が高額になっています。

課程

SIITでは、学士課程、修士課程、博士課程を提供しており、工学学士(BEng)、理学学士(BSc)、理学修士(MSc)、博士(Ph.D.)の学位が授与されます。主な課程は以下の通りです。

エンジニアリング

施設工学
化学工学
都市工学
電力工学
産業工学
機械工学
通信工学

技術

コンピュータ科学
エネルギー技術
工学運営学
環境技術
情報技術
機械工学およびコントロール・システム
運営技術
* 機械電子工学

オペレーション

協力・提携

SIITは国際大学として、海外の高等教育機関との連携を重視しています。特に、経団連からの投資を受けているため、日本の大学との提携が活発です。ドイツのDAADやIQNにも加入しており、国内ではアジア国際工学部と密接な関係を築いています。ジョイント・グラジュエート・スクール・オブ・エナジー・アンド・エンバイロメントという国内の技術高等学術機関ネットワークにも参加しています。SIITは、タイ人学生だけでなく、外国人留学生や交換留学生も積極的に受け入れています。

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