シルバーシャーク

シルバーシャークの詳細解説

シルバーシャーク（学名：Balantiocheilos melanopterus）は、コイ亜科に分類される熱帯魚です。その名の通り、魚雷のような体型と大きな鰭が特徴で、サメを連想させる姿からこの名前が付けられました。この種は、Balantiocheilos属を構成する2種のうちの1種であり、もう1種はBalantiocheilos ambusticaudaです（後者は絶滅した可能性が高い）。

分布

シルバーシャークは、マレー半島、スマトラ島、ボルネオ島に分布しています。メコン川やチャオプラヤ川での報告もありますが、これらは同属の別種である可能性が高いとされています。特に、2007年に記載されたBalantiocheilos ambusticaudaと混同されている可能性が指摘されています。このBalantiocheilos ambusticaudaは、すでに絶滅している可能性が高いと考えられています。

形態

体色は銀色で、背鰭、尾鰭、臀鰭、腹鰭は黒く縁取られています。眼が大きく、最大で35cmに達します。その流線型の体型と相まって、水槽内を優雅に泳ぐ姿は観賞価値が高いと言えるでしょう。

生態

大きめの川や湖の中層を好んで生息しています。食性は雑食性で、植物プランクトンも食べますが、主な餌は小型甲殻類、ワムシ、昆虫とその幼虫です。水中で活発に動き回り、餌を求めて泳ぎ回る様子が観察できます。

飼育

シルバーシャークは、多くの観賞魚店で入手可能です。温和な性格で、他の魚との混泳も比較的容易です。丈夫な魚であり、水温やpHなどの変化にもよく耐えます。適切な飼育環境としては、pH6.0～8.0、軟水から中程度の硬水（5.0～12.0 dGH）、水温22～28℃が推奨されます。群れで生活することを好むため、2匹以上で飼育することが望ましいです。また、ジャンプ力が非常に強いため、水槽には必ず蓋をする必要があります。水槽の縁に衝突して傷つくこともあるため、レイアウトには注意が必要です。

若い個体は小さな水槽でも飼育可能ですが、成長が非常に早く、成体になると大きな水槽が必要です。FishBaseでは、最低でも150cmの水槽が必要とされています。これは、シルバーシャークが群れで高速に泳ぎ回る習性を持つためです。

保護

IUCN（国際自然保護連合）は、シルバーシャークの保全状況を絶滅危惧種としています。自然分布域の大部分で個体数が減少し、絶滅の危機に瀕しています。ボルネオ島のダナウ・センタルン国立公園では、1975年から理由不明の急激な減少が始まったと漁業者が報告しています。減少の要因としては、観賞魚としての乱獲、1975年の山火事、水質汚染などが挙げられています。特に、スマトラ島のハリ川流域ではすでに絶滅していると考えられており、現在、インドネシアやタイから輸出される個体は、全て飼育下で繁殖されたものとされています。

まとめ

シルバーシャークは、観賞魚として人気がありますが、野生では絶滅の危機に瀕している魚です。飼育する際は、適切な環境を整えるとともに、この魚が置かれている状況を理解することが大切です。持続可能な観賞魚飼育を心がけ、種の保全に貢献できるよう努めましょう。

関連項目

• - 淡水魚
• - 熱帯魚
• - 魚の一覧

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