シロアゴガエル

シロアゴガエルについて

基本情報

シロアゴガエル（学名: Polypedates leucomystax）は、アオガエル科に属するカエルの一種です。このカエルは日本において特定外来生物として環境省に指定されており、侵略的外来種ワースト100にも選定されています。学名は「白い上唇を持って、よく跳ねるもの」という意味を持っています。

分布

シロアゴガエルはもともと東南アジアが原産地ですが、日本では沖縄諸島の大部分や大東諸島、宮古列島、八重山列島、それに奄美群島のいくつかの島に広がっています。実際、石垣島の近隣の西表島でも一時的にその生息が確認されましたが、2年後には根絶されています。このカエルは住宅地や農耕地、また二次林などでよく見られます。

形態

オスの体長は約4.7から5.2センチメートル、メスはそれよりも大きく、6.3から7.3センチメートル程度です。体色は灰褐色や赤褐色で、暗い4本の縦条斑が見られることが多いです。上顎の部分は特徴的に白色で、これが名前の由来にもなっています。前後の足にはしっかりした吸盤があり、前足には水かきがありません。卵の大きさは1.5ミリメートルと小さいのですが、幼生の形状は他のカエルの幼生に似ており、多くの場合、白い斑点がみられます。

生態

シロアゴガエルは夜行性で、特有の鳴き声「ギィッ」「グェッ」を発します。このカエルは樹上に生息しつつ、地上でも活動する生態を持っており、沖縄や奄美では主に4月から10月にかけて繁殖期を迎えます。繁殖時には池や水たまりに泡巣を作って卵を産みつけ、この泡巣は産下直後は黄白色で、時間が経つと淡褐色に変わります。国外の研究では、シロアゴガエルが一度に100から400個の卵を産むことが確認されており、卵は約4日で孵化し、幼生は約7週間後に変態が始まります。

外来種問題

日本では1964年に沖縄で初めて確認されたこの種は、その後、宮古および石垣島での生息が確認されています。侵入の理由は貨物に紛れ込んだと考えられています。このカエルは既存の在来カエルと餌や繁殖場所を巡って競争し、また、その鳴き声が繁殖に影響を及ぼす可能性が指摘されています。さらに、本種とともに持ち込まれた寄生虫が在来生態系に悪影響を与える懸念もあります。

防除の取り組み

適切な管理と駆除活動が行われており、特に石垣島では2007年に沈砂池に塩素剤を用いた駆除が行われています。また、西表島では2015年に侵入が確認された後、同年中に薬剤による防除が行われ、生息が確認されなくなるまでに至りました。奄美群島でも、与論島と徳之島での定着が確認されつつあり、特に徳之島では地域住民への注意喚起や駆除作業が進められています。これにより、外来種の影響を最小化し、在来生態系を守る取り組みが続けられています。

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