シンガポール市街地コース

マリーナベイ・ストリート・サーキットの概要

マリーナベイ・ストリート・サーキットは、シンガポールの中心部とマリーナ湾岸地域にまたがる特設の公道サーキットで、2008年からF1シンガポールグランプリに使用されています。

コースの基本情報

このサーキットのコース長は5.063kmで、最初は23のコーナーを持っていましたが、2023年からは4.940kmに短縮され、19のコーナーになりました。レースは61周行われますが、2023年からは周回数も62周に増えます。

F1としては初のナイトレースが行われたコースであり、全体で308.706kmの距離を走ります。セーフティーカーが出動すると、レースの2時間制限に達する恐れがあるため、特例での距離短縮が検討されることがしばしばです。このコースではセーフティーカーが出動する確率が高く、これまで全てのレースが60周以上かつ1時間55分以上かかって決着するなど、過去の例から再現性の高い特徴を持っています。

特に環境への配慮が求められる現代では、2023年からピットには太陽光発電システムが導入され、照明もすべてLEDに切り替えられました。

コースレイアウトと特徴

レースのスタート時、ホームストレートを通過した後、狭いシケインによる1・2コーナーが続きます。ここではスタート時に混乱が起こるリスクがあります。その後、180度左折する3コーナーを抜け、5コーナーを経てラッフルズ・ブルバードへと進みます。ここはコースで最もスピードが出るエリアですが、路面がバンピーで、車両が上下にバウンドしながら進む様子が見られます。

7コーナーは最大のオーバーテイクポイントとなっており、続く8・9コーナー、10コーナーの「シンガポール・スリング」へと続きます。このシケインは非常に難易度が高く、過去には名ドライバーたちがこのコーナーでの失敗を経験しています。

レイアウトは変更されており、2023年に16〜19コーナーが直線に改修された結果、コーナー数は19に減少しましたが、これは一時的なものであり、2024年には元のレイアウトに戻る予定です。

安全性と課題

市街地サーキットであるにも関わらず、第6コーナー付近では300km/hを超える速度が出ることがあります。コース幅が狭いため、特に狭い区間では安全性が問題視されています。

照明の明るさも初開催時に懸念されましたが、結果としては十分な明るさが確保されたことが分かりました。

全体的に水はけの悪さも課題で、大雨の後は路面が乾きにくく、ウエットセッションが発生することがあります。

経済効果と影響

サーキットの設置は地域経済にも影響を及ぼします。周辺の交通機関や施設に負担がかかる一方で、メディア露出による観光客の誘致効果も期待されています。特にレース期間中は、周辺ホテルの宿泊料金が通常の2倍から3倍に跳ね上がることが一般的です。

環境の課題

毎年、インドネシアの山火事によるスモッグがシンガポールに影響を及ぼすことがあります。特に2019年のF1開催時には、煙霧がコース全体を包む事態が発生しました。動物の侵入も問題で、フリー走行中に大きなトカゲがコースに現れることもありました。

マリーナベイ・ストリート・サーキットは、シンガポールのモータースポーツシーンにおいて重要な役割を果たしており、今後の発展も期待されています。

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