シンガポール植物園

シンガポール植物園は、広さ82ヘクタールを誇る広大な植物園で、シンガポール初のユネスコ世界遺産に登録されています。園内は南北に細長く、ブキット・ティマ・エリア、中央エリア、タングリン・エリアの3つに分かれています。開園時間は午前5時から深夜12時までで、国立洋ラン園を除き入場は無料です。園内をひと通り見て回るには3時間以上かかると言われています。

歴史

1822年、トマス・スタンフォード・ラッフルズらによって、経済的に重要な植物の価値を評価するための「実験植物園」が最初に設立されました。この植物園は、熱帯植物学と園芸の分野で重要な役割を果たし、特に東南アジアでのゴムノキのプランテーション開発に大きく貢献しました。その後、1829年に閉鎖されました。

現在のシンガポール植物園は、1859年に農業園芸協会によって設立されました。ローレンス・ニーベンが監督者として雇われ、彼のデザインに基づいて現在の植物園の配置が作られました。第二次世界大戦中の日本占領下（1942年から1945年）では、植物園は「昭南植物園」と改名され、田中館秀三らが管理を引き継ぎました。戦後、植物園はイギリスの管理下に戻り、その後シンガポールの独立に伴い、シンガポールの緑化政策において重要な役割を果たしています。

施設概況

国立洋ラン園（ナショナル・オーキッド・ガーデン）

植物園の中でも特に人気があるのが、国立洋ラン園です。約1000の原種と2000の交配種、約6万株の洋ランが3ヘクタールの丘に集められています。開園時間は午前8時30分から午後7時までで、入場料が必要です。

大人: 5SGD
学生・60歳以上: 1SGD
12歳以下の子供: 無料

園内には、世界の要人の名前が付けられたランが展示されているVIPオーキッド・ガーデンや、高地の熱帯林の環境を再現したクールハウス、様々な交配種が集められたミストハウスなどがあります。

進化園（エボリューション・ガーデン）

9.9ヘクタールの敷地には、地球誕生から現在までの植物の進化の歴史を辿ることができる散策コースがあり、藻類やシダなどの古代植物を見ることができます。

生姜園（ジンジャー・ガーデン）

2003年にオープンした生姜園には、1ヘクタールの庭園に1000種以上のショウガ科の植物が集められています。園内には、ショウガを使った料理を提供するレストラン「Halia」もあります。

植物センター（ボタニー・センター）

植物センターには、植物園芸図書館、植物標本室、工作教室などがあります。植物標本室には、シンガポール、マレー半島、ボルネオなどの地域で採取された75万点以上の標本が所蔵されています。

ジェイコブ・バラスのこども園（ジェイコブ・バラス・チルドレンズ・ガーデン）

この子ども園は、水遊び場やツリーハウス、迷路などがあり、子供たちが植物に親しむための様々な施設が用意されています。

三つの湖

園内には、シンフォニー湖、エコ湖、白鳥の湖の3つの湖があります。シンフォニー湖の演奏ステージでは、週末に無料コンサートが開催されることがあります。

世界遺産

シンガポール植物園は、2015年にユネスコの世界遺産リストに登録されました。この登録は、以下の世界遺産登録基準を満たしたことによるものです。

(2) ある期間を通じてまたはある文化圏において、建築、技術、記念碑的芸術、都市計画、景観デザインの発展に関し、人類の価値の重要な交流を示すもの。
* (4) 人類の歴史上重要な時代を例証する建築様式、建築物群、技術の集積または景観の優れた例。

まとめ

シンガポール植物園は、単なる植物園としての役割だけでなく、歴史、文化、教育、レクリエーションの場としても重要な存在です。多様な植物コレクションと美しい景観、そして様々な施設は、訪れる人々に癒しと学びの機会を提供しています。市民の憩いの場として、そして世界遺産として、これからも多くの人々に愛され続けるでしょう。

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