シンシナティ・レッドストッキングス

シンシナティ・レッドストッキングス：アメリカプロ野球の夜明け

1869年、アメリカで初めてプロ野球選手のみで構成されたチームが誕生しました。その名もシンシナティ・レッドストッキングス。彼らは、現在のメジャーリーグへと続くプロ野球の歴史において、非常に重要な役割を果たしたチームです。本稿では、その栄光と挫折に満ちた歴史を詳しく見ていきましょう。

創設からプロ化への道

レッドストッキングスは、1866年7月23日、「シンシナティ・ベースボール・クラブ」として創設されました。創設メンバーはハーバード大学やエール大学出身者を中心とした精鋭たち。結成当初のニックネームは「レゾリューツ」でした。最初の試合は同年の9月29日、シンシナティのバックアイ・ベースボール・クラブとの対戦でしたが、惜しくも敗戦。しかし、その後も活動を続け、1867年には「全米野球選手協会（NABBP）」に加盟。地元のユニオン・クリケット・クラブのグラウンドを本拠地として活動範囲を広げていきました。

チーム強化のため、クラブハウス建設や観客席の整備など、積極的な投資も怠りませんでした。特に、1865年にニューヨークから移籍してきたハリー・ライト選手の獲得は大きな転機となりました。年1200ドルという高額な契約金で迎え入れた彼は、後のレッドストッキングスの監督としてチームを牽引することになります。このスカウトは、後のプロ野球における選手の獲得競争の先駆けと言えるでしょう。1867年シーズン終了時には、チームの主力選手5名が既に報酬を得てプレーしていました。

1868年には、チームの象徴ともなった赤のストッキングをあしらったユニフォームが採用されました。ユニフォームのデザインは、副代表のチャンピオン氏の事務所に勤めていたジョージ・B・エラード氏、もしくはハリー・ライト氏の提案と言われています。同年、チームはアマチュアからの脱却を決意。より強豪チームを目指し、他都市からも優秀な選手を獲得することに力を注ぎました。当時、プロ選手への報酬は公には認められていませんでしたが、事実上多くの選手は報酬を得てプレーしていました。

プロ野球チームとしての快進撃と挫折

1869年、NABBPがプロ野球選手を公式に認める規定を設けたことで、レッドストッキングスは晴れてアメリカ初のプロ野球チームとなりました。この年のチームメンバー（ファースト・ナイン）は、投手エイサ・ブレイナード、捕手ダグ・アリソンなど、実力派選手が揃っていました。監督兼選手としてハリー・ライトがチームを率いました。

1869年シーズンは、東部への遠征を含め57試合を戦い、なんと全勝という驚異的な成績を収めました。続く1870年も快進撃は続き、84連勝という偉業を達成。しかし、6月にブルックリンのアトランティック・クラブに敗れたことをきっかけに、チームを取り巻く状況は一変しました。シンシナティ市民の関心の低下、そして財政難に陥ったチームは、1870年11月21日、プロ選手の契約を更新しないことを発表。

解散と新たな始まり

レッドストッキングスのプロ選手たちは、各チームに散り散りとなりました。ハリー・ライト、ジョージ・ライト、チャーリー・グールド、カル・マクベイはボストンへ移籍し、ボストン・レッドストッキングス（現アトランタ・ブレーブス）の創設メンバーとして活躍しました。他の選手たちも、新たなチームでプレーを続けました。こうして、アメリカプロ野球の礎を築いたシンシナティ・レッドストッキングスは、その歴史に幕を閉じました。しかし、彼らの功績は、後のメジャーリーグ発展の大きな力となったことは間違いありません。

戦績

1869年以降のプロチームとの対戦成績は、残念ながら資料不足により詳細な記録を残すことができませんでしたが、57戦全勝という驚異的な記録が、彼らの実力を物語っています。

参考文献

19th Century Baseball
Society for Cincinnati Sports Research

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