シンタクチックフォーム

シンタクチックフォームとは

シンタクチックフォームは、金属、高分子、セラミックなどの基本となる材料（母材またはマトリックス）に、マイクロバルーンと呼ばれる微小な中空粒子を混ぜ込んで作られる複合材料です。この「シンタクチック」という言葉は、「一緒にする」という意味を持っています。中空粒子を組み込むことで、材料の密度を下げ、比強度（強度を密度で割った値）を向上させることができます。また、熱膨張係数の低下や、場合によってはレーダーやソナーに対する透明性も実現できます。

歴史

この材料の概念は1955年に、ニューヨークのベークライト社が、微細な中空フェノール樹脂球をフェノール、エポキシ、ポリエステルのマトリックスに結合させた軽量複合材料として初めて導入しました。

特徴

シンタクチックフォームの最大の利点の一つは、その柔軟性にあります。マトリックス材としては、ほぼすべての金属、高分子、セラミックを使用できます。マイクロバルーンも、微細中空ガラス球、セノスフェア、炭素、高分子など、さまざまなサイズと材料のものが利用可能です。

最も広く利用され研究が進んでいるのは、微細中空ガラス球をエポキシ樹脂やポリマーに分散させたものと、セノスフェアやセラミック球をアルミニウムに分散させたものです。マイクロバルーンの体積比率や、内径と外径の平均比率を調整することで、異なる実効密度の材料を設計できます。

物性

シンタクチックフォームの圧縮特性は、主にマイクロバルーンの特性に依存します。一般的に、圧縮強度は密度に比例する傾向があります。一方、マトリックス材は引張特性に大きく影響します。例えば、ガラス粒子とエポキシマトリックス間の結合を強化するシラン化処理など、粒子表面処理により引張強度を大幅に向上させることができます。また、繊維状の材料を添加することによっても引張強度を増すことができます。

応用分野

シンタクチックフォームは、1960年代初頭に、浮力材として海事分野で開発されました。その後、その優れた特性から航空宇宙分野や陸上輸送分野にも応用が広がっています。

現在では、以下のような幅広い用途で使用されています。

船上ライザーテンショナーの浮力モジュール
遠隔操作型潜水機 (ROV)
自律型無人潜水機 (AUV)
深海探査機
船体
ヘリコプターや航空機の部材

また、サンドイッチパネル構造の中間層（コア材）としての構造材への応用も進んでいます。

その他の応用例

深海浮力材
熱成形プラグの支持材
レーダー透明材料
音響減衰材料
衝撃吸収材
ボーリングボール、テニスラケット、サッカーボールなどのスポーツ用品

関連事項

微細中空ガラス球
泡

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