シーウルフ (SSN-575)

シーウルフ (USS Seawolf, SSN-575)

シーウルフは、アメリカ海軍の攻撃型原子力潜水艦であり、1950年代に建造された艦の中でも特に珍しい特徴を持った艦です。艦名はオオカミウオに由来し、歴史上3隻目のシーウルフとして知られています。その後、シーウルフ級潜水艦として新たに建造された艦もあり、原子力潜水艦における重要な存在として位置付けられました。

この艦は、ノーチラス (USS Nautilus, SSN-571) と同じく、1952年度の計画で建設が決定しましたが、技術的には異なるアプローチを採用していました。ノーチラスが軽水を冷却材に使用するのに対し、シーウルフは液体ナトリウムを冷却材とした溶融金属冷却原子炉を搭載していました。これは、軽量かつ低騒音を実現する一方で、冷却材の凝固や管系の腐食といった保守管理の困難さも伴いました。これらの背景から、シーウルフは当初の設計に対する保険として、別の方式の原子炉を試みることが決定されました。

艦の建造は1953年に始まり、1955年に進水、1957年に正式に就役しました。興味深いことに、後にアメリカ合衆国大統領となるジミー・カーター中尉も、一時は艦のエンジニアリング士官としての任務が予定されていましたが、家庭の事情で辞退しています。

シーウルフはその後、様々な任務を担当しながら艦歴を刻んでいきました。特に顕著なのは、冷却材漏出事故を経験し、運転出力が制限されたことです。さらに、長期間にわたる艦内環境の維持実験にも参加しました。これに続く改装では、冷却システムが更新されましたが、艦の運用には影響を与えました。

1969年には地中海でのNATO演習に参加するために出航しましたが、海底に接触して舵を損傷するトラブルに見舞われました。その後、1970年に太平洋潜水艦隊に配属され、1971年から1973年にかけては特殊任務用に改造が行われました。

この艦は、特に冷戦期においてソ連の情報収集任務に従事し、重要な役割を果たしました。しかし、1981年にオホーツク海での任務中に損傷を受け、その後は特殊任務からは外されました。1986年には西太平洋での最後の配備を終え、1987年に退役しました。

最終的に、シーウルフは1996年から1997年にかけて解体されました。シーウルフの艦歴は、当時の技術革新を象徴するものであり、アメリカ海軍における潜水艦の役割と戦略を深く理解する上で欠かせない存在です。

もう一度検索