シークレット・サンシャイン

シークレット・サンシャイン

『シークレット・サンシャイン』（原題：밀양）は、2007年に公開された韓国映画で、名匠イ・チャンドンが監督、脚本を手がけています。この映画は1985年にイ・チョンジュンが発表した短編小説「虫の話」を原作としており、慶尚南道の密陽市を舞台にしています。映画の撮影もこの地で行われ、その土地の特徴が作品に色濃く反映されています。特に、第60回カンヌ国際映画祭でのコンペティション部門出品に際し、主演のチョン・ドヨンがその演技力を評価され女優賞を受賞したことが注目されました。

あらすじ

物語は、ソウルに住むイ・シネ（演：チョン・ドヨン）が彼女の幼い息子ジュンとともに密陽市に引っ越すところから始まります。シネは夫の故郷であるこの町で新たな生活を送ることを決め、全くの他人となった土地に足を踏み入れます。しかし、道中に車が故障してしまい、修理屋のキム・ジョンチャン（演：ソン・ガンホ）に手を借りることになります。ジョンチャンはシネを市内まで送った後、この母子の生活を手伝うこととなり、ピアノ教室を開くための住まいを探すことになります。実は、シネは夫を交通事故で亡くしており、その悲しみを抱えたままでした。

シネは息子を幼児教育の塾に通わせる一方で、経済的には厳しい状況にあります。夫の生命保険で借金の返済を終えたものの、引っ越しによってほとんど貯金もなく、見栄を張るシネはパク・ドソプ（演：チョ・ヨンジン）に土地を探していると話し、資産家であるかのように振舞います。しかし、パクはシネの言葉を信じて誘拐事件を起こし、その結果、ジュンは命を奪われてしまいます。

シネの苦悩

子供を失ったシネは深い悲しみに包まれ、周囲の人々、特にピアノ教室の向かいに住む熱心なキリスト教信者のキム夫妻からの勧誘を受けます。徐々に彼らに影響され、ジョンチャンも教会に通うことになります。シネは一度は宗教の教えに慰めを見出すものの、許しを与えに行ったパクからは、彼が宗教の教えを受けて神の許しを得たことを告げられ、身動きが取れなくなってしまいます。シネは心の中で神を信じられなくなり、集会に赴いて音楽を流すことで憎しみを表現します。

シネはキムを誘惑しようとするものの、結局自我を保つことができず、精神的な崩壊に至ってしまいます。自らの家で不同意の助けを求めた結果、精神科に入院することに。退院後、彼女を迎えに来たジョンチャンと髪を切ろうとしますが、思わぬ事態に遭遇します。最終的には、庭に鏡を持ち出し、自ら髪を切ることで、自分を取り戻そうと試みます。

映画の評価

『シークレット・サンシャイン』は、その深いテーマと感情に満ちた演技、特にチョン・ドヨンの表現力により、多くの賞を受賞しています。第60回カンヌ国際映画祭では女優賞を獲得し、さらに第2回アジア・フィルム・アワードでは作品賞、監督賞、主演女優賞を受賞するなど、アジア film 界にも名を馳せた作品です。人間の苦悩や再生、信仰の葛藤を描いたこの映画は、観客に深い印象を与えています。

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