シーグル・エアー

シーグル・エアー：急成長と突然の終焉

シーグル・エアーは、かつてスロバキア共和国トレンチーン市に本社を置く、ブラチスラヴァ空港を拠点とした航空会社でした。地中海沿岸諸国などを中心にチャーター便を運航していましたが、2009年10月に突如事業を停止、2010年1月には破産宣告を受け、その短い歴史に幕を閉じました。

航空学校からの出発と事業拡大

シーグル・エアーは1995年、トレンチーン市に設立された航空学校としてスタートしました。その後、航空事業へ進出し、チェコLET社のL-410型機を用いた貨物チャーター便や、チェコ郵便国有会社の航空郵便輸送などを担当。順調な滑り出しを見せていました。

転機が訪れたのは2007年。スロバキアのフラッグキャリアであったスロバキア航空が経営破綻したことに伴い、シーグル・エアーはスロバキア航空の従業員の約8割を引き継ぎました。この雇用承継を機に、同社は本格的に旅客チャーター便事業へ参入。ボーイング737-300型機を導入し、ブラチスラヴァ空港発着のチャーター便の運航を開始しました。その後、同型機を増備し、コシツェ空港に加え、チェコ国内のプラハ、ブルノ、パルドゥビツェへのチャーター便も運航するなど、事業規模を急速に拡大しました。さらに同年4月には、スロバキア国内の航空会社として初めてエアバスA320-200型機を導入するなど、積極的な機材更新も図っています。

経営悪化と破綻

しかし、この急成長は長くは続きませんでした。2008年12月31日、シーグル・エアーは、従業員の社会保険料約23万ユーロの滞納が発覚。2009年3月には滞納額が33万3000ユーロにまで膨れ上がりました。同年6月に滞納問題は解消したものの、経営状況は改善せず、同年10月23日には資金繰りの悪化により、ついに事業を停止せざるを得ない状況に陥りました。そして2010年1月、破産宣告を受け、同年4月にはスロバキア運輸郵政通信省により航空会社免許が取り消されました。

航空学校部門の継続

シーグル・エアーは創業以来、航空学校部門も運営していました。トレンチーン空港を拠点に、オーストリア・ダイアモンド航空機産業製のDA20、DA40ダイアモンド・スター、DA42ツイン・スターといった小型機を用いて操縦士養成を行っていました。シーグル・エアー本体の破綻後も、この航空学校部門は「シーグル・エアー・FTO」として事業を継続しています。

保有機材

事業停止時点でのシーグル・エアーの保有機材は、ボーイング737-300型機4機、エアバスA320-200型機2機、計6機でした。航空学校部門で使用されていたダイアモンド社製の小型機7機は、シーグル・エアー・FTOに引き継がれています。

関連事項

シーグル・エアーの急成長と破綻劇は、スロバキア航空の経営破綻という出来事と深く関わっています。スロバキア航空の従業員の大半を引き継いだことが、シーグル・エアーの事業拡大のきっかけとなった一方、その後の経営悪化にも繋がった可能性も考えられます。シーグル・エアーのケースは、航空業界における急成長とリスク管理の難しさを示す事例と言えるでしょう。

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