トレンチーン

スロバキアの古都、トレンチーン

トレンチーンは、スロバキア北西部に位置する都市で、首都ブラチスラヴァから約120km離れています。スロバキアで9番目に人口が多く、豊かな歴史と文化を持つ街として知られています。2026年には欧州文化首都に選定されており、その魅力にますます注目が集まっています。

古代ローマの足跡

トレンチーンの歴史は古く、179年のマルコマンニ戦争時代のローマ帝国の碑文が残されています。この碑文は、中央ヨーロッパにおけるローマ軍の遠征の最北端の証拠とされており、この地が古くから重要な拠点であったことを物語っています。

中世の要衝

7世紀にはサモ帝国の首都の一つであったとされ、631年にはスラブ人とフランク人の間で激戦が繰り広げられました。11世紀初頭には、大モラヴィア時代に建設された石造りのトレンチーン城が築かれました。この城は、ポーランド王ボレスワフ1世の支配を経て、1017年にはハンガリー王イシュトヴァーン1世によって征服されました。1241年のモンゴル帝国の侵略も防ぎ抜き、14世紀初頭にはチャーク・マーテーの権力拠点となりました。

幾多の戦火を乗り越えて

1412年には神聖ローマ皇帝ジギスムントから王立自由都市の特権を受けましたが、その後は災害や戦禍に見舞われることが多くありました。16世紀にはハプスブルク家との戦いの中で帝国軍に占領され、17世紀にはオスマン帝国の脅威に晒されました。18世紀にはハプスブルク家に対するクルツの反乱によって再び被害を受け、1708年には近郊でトレンチーンの戦いが繰り広げられました。1790年には大火によって町と城が焼失し、城は廃墟となりました。

近代の復興

19世紀にはジリナやブラチスラヴァへの鉄道が開通し、再び繁栄を取り戻しました。第一次スロバキア共和国時代にはトレンチーン郡の首府となり、再び重要な都市としての地位を確立しました。第二次世界大戦中はナチス・ドイツに占領されましたが、1945年にルーマニア軍とソ連軍によって解放されました。

現代のトレンチーン

1990年以降、市の歴史的中心部は大規模に修復され、1996年以降はトレンチーン県およびトレンチーン郡の行政の中心となっています。トレンチーン城とそのローマ碑文は人気の観光スポットとなっており、多くの観光客が訪れます。

地理と統計

トレンチーンは標高211mに位置し、面積は82平方キロメートルです。2005年時点での人口は約56,750人であり、スロバキア人が多数を占めています。

スポーツと姉妹都市

トレンチーンにはASトレンチーンというサッカークラブがあり、元リヴァプールFCのマルティン・シュクルテル選手が在籍していたことでも知られています。また、フランス、チェコ、ポーランド、イタリア、ハンガリー、セルビアの各都市と姉妹都市提携を結んでいます。

トレンチーンは、古代から近代に至るまでの豊かな歴史と文化が息づく魅力的な都市です。2026年の欧州文化首都としての活躍が期待されます。

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