シースカウト

シースカウト：海と湖と川を舞台にしたスカウト運動

シースカウトは、1908年に始まった国際的なスカウト運動の一種です。その活動は、海、川、湖といった水辺を舞台に展開されます。カヤックやカヌー、帆船など様々な船を用いた活動が特徴で、航海術や船舶の操作、エンジンの仕組みなどを学ぶ機会を提供しています。活動内容は、所属する国や地域、利用可能な水域、船の種類によって様々です。ボートレースであるレガッタへの参加も盛んです。

シースカウトの歴史：スカウト運動の起源に繋がる伝統

シースカウトは、スカウト運動の中でも最も歴史の古いプログラムの一つと言えるでしょう。その起源は、スカウト運動の創始者であるロバート・ベーデン＝パウエル卿（B-P卿）の幼少期にまで遡ります。B-P卿は、海軍の伝統を持つ家系に生まれ育ち、15歳の時には兄と共に折り畳み式のカヌーでクロスカントリー旅行を経験しました。テント泊や焚火での料理など、自然の中で行われたこの旅は、B-P卿のスカウト人生の原点となり、後に自らのスカウトとしての生涯はシースカウトとして始まったと記しています。

イングランドでのキャンプファイアにおいて、B-P卿は年長のスカウト達にボートの扱い方や船舶操縦術を学ばせることを提案しました。これはシースカウト活動の始まりを告げる重要な出来事でした。B-P卿は、青年たちが自国の船舶で奉仕する準備をすることを重視し、この活動は彼の兄、ワーリントン・ベーデン＝パウエルによって推進されました。1908年8月、B-P卿はイギリスで個人的なキャンプを行い、これがシースカウトの始まりとなりました（公式名称が付けられたのは1912年以降）。

ワーリントン・ベーデン＝パウエルは、『シースカウティング・アンド・シーマンシップ・フォア・ボーイズ』を執筆し、B-P卿による序文を添えて出版しました。この本はイギリスの青年たちに広く受け入れられ、瞬く間に海外へと広がっていきました。彼はまた、『Canoe Travelling：Log of a Cruise on the Baltic, and Practical Hints on Building and Fitting Canoes』も著しています。イギリスでは、Sea cadetsという10～18歳の少年を対象とした組織があり、政府と海軍の支援を受けて活動しています。

日本におけるシースカウト：変遷と発展

日本におけるシースカウトは、1924年、海軍関係者らによって大日本東京海洋少年団が結成されたことに始まります。その後、少年団日本連盟に海洋部が設置され、全国規模の訓練も実施されました。1928年には、日本連盟規約が改正され、ボーイスカウト、シースカウト（海洋少年団＝海洋健児部）などが明確に分類されました。海洋健児部の指導には海軍関係者が多く関与していましたが、1930年代の軍部による干渉を避けるため、1938年には大日本海洋少年団連盟として独立しました。第二次世界大戦後、占領軍の方針により一時活動停止となりましたが、1951年に日本海洋少年団連盟として再発足。現在は国際海洋少年団協会(ISCA)に所属するシー・カデットとして活動しています。

戦後のボーイスカウトでは、シースカウトは海洋を活動の場とするベンチャースカウトやローバースカウトを指す場合もあります。ボーイスカウト日本連盟には具体的な制服や訓練内容の規定はありませんが、多くの団体が独自のユニフォームや海洋訓練プログラムを実施しています。

ユーロシー(Eurosea seminar)：ヨーロッパのシースカウト大会

ユーロシーは、ヨーロッパ地域スカウト機構が3年ごとに開催するシースカウトの国際大会です。過去には、ギリシャ、オランダ、スウェーデン、イギリス、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、フィンランドなどで開催されています。各国のシースカウトが集い、交流や競技などを展開する一大イベントです。

シースカウトは、長年に渡り世界中の若者たちに水辺での冒険とスキル習得の機会を提供し続けています。その歴史と活動は、スカウト運動全体にとっても重要な部分を担っています。

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