シーソーゲーム 〜勇敢な恋の歌〜

シーソーゲーム 〜勇敢な恋の歌〜：Mr.Childrenの軌跡を彩る、社会貢献と商業的成功の両立

1995年8月10日、日本の音楽シーンに大きなインパクトを与えたシングル「シーソーゲーム 〜勇敢な恋の歌〜」が、Mr.Childrenによってリリースされました。前作からわずか3ヶ月という短いスパンでのリリースは、彼らの旺盛な創作意欲と勢いを象徴しています。

ジャケットは、簡素な猿のイラストと田原健一による手書きのタイトルが特徴的です。桜井和寿は、この猿の絵について、「新たな気持ちでリスタート」という想いを込めたと語っており、バンドの新たな出発を示唆するものでした。アートディレクションは信藤三雄が担当しました。

このシングルで得られたCD売上金と印税は、同年1月に発生した阪神・淡路大震災の義援金として全額寄付されました。商業的な成功を収めながらも、社会貢献という重要な活動に全力を注いだ、彼らの姿勢は高く評価されています。

驚異的なチャート成績とロングヒット

「シーソーゲーム 〜勇敢な恋の歌〜」は、発売後、驚異的なチャート成績を記録しました。Mr.Childrenのシングルとしては異例の安定した売上推移を見せ、2週目の売上は29.9万枚を記録。オリコンチャートでは3週連続1位を獲得し、ノンタイアップシングルとしては歴代1位の売上を記録するという偉業を達成しました。

4thシングル「CROSS ROAD」から続くミリオンセラーは、本作で6作連続となり、初週売上は56.2万枚、累計売上は181.2万枚にのぼりました。さらに、3週目の1位獲得と同時に、オリコン集計におけるシングルの総売上枚数が1000万枚を突破するという快挙も成し遂げました。

デジタル配信においても、2018年5月10日の各ストリーミングサービスでの配信開始以降、高い人気を維持し続けています。「シーソーゲーム 〜勇敢な恋の歌〜」のストリーミング再生回数は2021年10月に3000万回を突破し、シルバー認定、2023年1月にはゴールド認定を受けました。

楽曲とミュージックビデオ：エルヴィス・コステロへのオマージュとライブパフォーマンス

表題曲「シーソーゲーム 〜勇敢な恋の歌〜」は、Mr.Childrenが敬愛するエルヴィス・コステロの影響を強く受けています。ミュージックビデオも、楽曲自体もその影響が見られます。

これまでのシングル制作では、小林武史が桜井和寿にアドバイスをする共同作業が一般的でしたが、この楽曲では、桜井がデモ段階で全体の構成をほぼ完成させていました。ストリングスは、生の演奏ではなく小林武史によるシンセサイザーを使用しています。

「ライブで盛り上がる曲」というコンセプトで制作されたものの、桜井自身は歌詞の内容に戸惑いを感じており、ライブでの演奏機会は比較的少なかったとのことです。1995年のスタジアムツアー以降は演奏されることがほとんどなくなっていましたが、『Mr.Children HOME TOUR 2007 -in the field-』で約10年ぶりに披露され、初の映像化を果たしました。

歌詞の着想は「シーソーゲーム」「シー・ソー・キュート」というフレーズから始まり、自身の葛藤や繰り返す過ちをシーソーゲームに例えています。ミュージックビデオは、『【es】 Mr.Children in FILM』（1995年12月15日発売）、『Mr.Children DOME & STADIUM TOUR 2017 Thanksgiving 25』（2018年3月21日発売）に収録されています。

カップリング曲「フラジャイル」：ゲリラライブの熱気と意外な歌詞

カップリング曲「フラジャイル」は、仮タイトルが「ハルマゲドンはご機嫌斜め」だったというエピソードがあります。1995年5月3日に行われた渋谷でのゲリラライブの音源が使用されており、スタジオ音源は存在しません。歌詞には意外にも「ドラえもん」が登場するなど、遊び心も感じられます。

この曲は、当時の社会情勢やニュースから着想を得たもので、桜井和寿は「いろいろ考えたことがそのまま言葉になっている」と語っています。鈴木英哉はアレンジをビートルズの「ヘルター・スケルター」風だと表現し、桜井も同年の桑田佳祐とのジョイントライブ『“Acoustic Revolution with Orchestra” 奇跡の地球』との関連性について言及しています。

アルバムからのリカットではないカップリング曲が収録されているのは、5thシングル「innocent world」以来4作品ぶりでした。

収録アルバムとカバー

「シーソーゲーム 〜勇敢な恋の歌〜」は、『LAND IN ASIA』、『BOLERO』、『Mr.Children 1992-1995』、『Mr.Children 1992-2002 Thanksgiving 25』、『Mr.Children 2011-2015』などに収録されています。「フラジャイル」は『B-SIDE』に収録されています。「シーソーゲーム 〜勇敢な恋の歌〜」は絢香によってカバーされています。

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