LAND IN ASIA

Mr.Childrenの幻のアジア限定ベストアルバム『LAND IN ASIA』

1996年、日本の国民的バンドMr.Children（ミスターチルドレン）は、アジアツアーを記念した特別なアルバムをリリースしました。その名も『LAND IN ASIA』（ランド・イン・エイジア）。日本国内での発売は一切なく、香港と台湾など一部のアジア地域のみで限定販売された、まさに幻の作品です。

このアルバムは、日本のトイズファクトリーと香港のレコード会社Cinepoly/Polygramによる共同リリースという異例の形態をとっています。しかし、その発売は短命に終わりました。諸々の契約問題や著作権に関する問題が絡み合い、すぐに市場から姿を消したのです。そのため、現在では入手困難なコレクターズアイテムとなっています。日本のファンにとっては、聴くことすら叶わぬ、伝説的なアルバムと言えるでしょう。

パッケージは、初回盤と通常盤の2種類が用意されていました。初回盤はメンバー4人の写真がジャケットを飾る豪華仕様。通常盤は、封筒を思わせるシンプルなデザインとなっています。どちらも紙製のスリーブケースに入っている点が共通しています。さらに、このアルバムは、トイズファクトリー旧ロゴマークが使用されている、貴重な作品でもあります。

興味深いのは、パッケージ裏に記載されているローマ字表記の曲名に、多くの誤りが見られるという点です。製作過程における何らかのミスが、このレアなアルバムのミステリアスな側面をさらに強調していると言えるかもしれません。

収録されている楽曲は、Mr.Childrenの代表作と言える4thアルバム『Atomic Heart』からの選曲が中心です。しかし、それ以外の楽曲は、当時シングルカットされていた曲から厳選されています。1stアルバム、2ndアルバムからの選曲は少なく、2ndシングル『抱きしめたい』のみが収録されています。特に注目すべきは、『Tomorrow never knows』から『シーソーゲーム 〜勇敢な恋の歌〜』までのシングル曲が、すべてアルバム初収録という点です。これにより、このアルバムは、シングルバージョンでこれらの曲を聴くことができる唯一の作品となっています。後に発売されたアルバム『BOLERO』やベストアルバム『Mr.Children 1992-1995』『Mr.Children 1992-2002 Thanksgiving 25』には、アルバムバージョンが収録されたため、シングルバージョンを聴きたいリスナーにとっては、まさに必聴のアルバムと言えるでしょう。

収録楽曲について、いくつか代表的なものを挙げると、

『シーソーゲーム 〜勇敢な恋の歌〜』：9thシングル。アルバム初収録。
『Tomorrow never knows』：6thシングル。アルバム初収録。シングルバージョンで聴けるのは本作のみ。
『Dance Dance Dance』：4thアルバム『Atomic Heart』収録。
『ラヴ コネクション』：4thアルバム『Atomic Heart』収録、6thシングル『Tomorrow never knows』カップリング曲。
『抱きしめたい』：2ndシングル。
『雨のち晴れ』：4thアルバム『Atomic Heart』収録。
『everybody goes -秩序のない現代にドロップキック-』：7thシングル。アルバム初収録。
『【es】 〜Theme of es〜』：8thシングル。アルバム初収録。
『Round About 〜孤独の肖像〜』：4thアルバム『Atomic Heart』収録。
『クラスメイト』：4thアルバム『Atomic Heart』収録、7thシングル『everybody goes -秩序のない現代にドロップキック-』カップリング曲。
『CROSS ROAD』：4thシングル。
『innocent world』：5thシングル。

といった楽曲が収録されています。

『LAND IN ASIA』は、Mr.Childrenの歴史において、独特の位置を占める作品です。その希少性、そして収録楽曲の選曲の妙は、多くのファンを魅了し続けています。もし、このアルバムを手に取る機会があれば、その歴史的価値と音楽的魅力をじっくりと堪能してみてはいかがでしょうか。

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