シープ (ピンク・フロイドの曲)

ピンク・フロイドの楽曲「シープ」は、1977年にリリースされたアルバム『アニマルズ』に収録されています。この曲は、元々1974年から「Raving and Drooling」というタイトルで、同じく「You gotta be crazy」という曲とともにコンサートで演奏されていました。

当初はアルバム『狂気』の次の作品に収録される予定でしたが、最終的には見送られ、1976年にアルバム『アニマルズ』のためにレコーディングされました。その際、歌詞の一部が変更され、「シープ」として発表されることになりました。

作詞・作曲はロジャー・ウォーターズが担当し、彼自身がリード・ヴォーカルも務めています。「ドッグ」ではギターのサウンドが際立っていましたが、「シープ」ではベースのサウンドがより強調されているのが特徴です。デヴィッド・ギルモアは、「シープ」のベースパートは全て自身が演奏したと主張しています。

歌詞の内容は、羊を一般大衆に見立て、支配者層に対して盲従する姿を描いています。これは、社会に対する批判的な視点を反映したものです。曲の後半部分では、ヴォコーダーを通して旧約聖書の詩篇23篇を引用していますが、一部歌詞が変更されています。この引用は、楽曲にさらなる深みを与えています。

「シープ」は、1977年のコンサート・ツアー「ピンク・フロイド・イン・ザ・フレッシュ」でオープニング・ナンバーとして演奏されました。当時、ツアーにサポートミュージシャンとして参加していたスノーウィ・ホワイトがベースを担当しました。1987年の『鬱』ツアーでも演奏が検討されましたが、ギルモアが「(脱退した)ウォーターズのような悪意に満ちた歌い方ができない」という理由で見送られました。この曲は、1981年発売のコンピレーション・アルバム『時空の舞踏』や、2001年発売のベスト・アルバム『エコーズ〜啓示』にも収録されています。

「シープ」は、ピンク・フロイドの音楽の中でも、特に社会的なメッセージが強く込められた作品の一つとして、多くのファンに愛され続けています。

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