シーレーン

シーレーンとは？

シーレーンは、国家にとって経済や戦略的に重要な海上交通路を指し、有事の際にはその確保が求められます。英語では「Sea Lines of Communication（SLOCs）」という用語でも知られています。

海上交通路の形成

海上交通に明確な航路があるわけではありませんが、航海が一般化する中で自然に形成された航路を「シーレーン」として認識します。このシーレーンは、陸上における小道に例えられることがあります。シーレーンを守るためには、特に重要な地点を「チョークポイント」と呼び、ここでの防衛が重要視されます。特に海洋国家では、シーレーンの安全を守ることが第一の課題となっています。

現代シーレーンの役割

現在のシーレーンは物品輸送にとどまらず、海底ケーブル網の重要な部分を形成しています。このため、国際通信においても欠かせない存在となっています。

日本のシーレーン防衛

日本は周囲を海に囲まれた島国であり、海岸線の長さは4,842海里、約8,967kmに達し、世界第7位です。また、3,861.1万km²の広大な排他的経済水域を持っています。日本は1970年代のオイルショックを契機に、産油国との外交を強化し、シーレーンの安定が不可欠であることを認識しました。1982年頃からは、外洋に広がるシーレーンの防衛構想を検討し始めました。

日本の経済は、今日ではほとんどが海上交易に依存しており、特にエネルギー資源の輸入依存度は非常に高いです。例えば、2021年のデータでは石油が99.8%、石炭が98.4%、天然ガスが96.6%と、ほとんどを他国に依存しています。こうした背景から、食品もシーレーンに支えられていることが多く、豆腐や蕎麦などもその一例です。

自衛隊とシーレーン防衛

日本の海上自衛隊の戦術は、かつての大日本帝国海軍が軽視していた「シーレーン防衛」の重要性に基づいています。現在では、対潜戦や対機雷戦の訓練に力を入れています。

中曽根内閣のシーレーン防衛政策

中曽根内閣はシーレーン防衛に関して4つの基本指針を設定しました。これには、日本列島をソ連の侵入から保護すること、周辺海峡の支配権の確保、敵潜水艦による通航の阻止、そして太平洋の防衛圏の拡大が含まれます。これらの方針が中曽根航路帯として知られ、シーレーン防衛政策の基盤となりました。

シーレーンは現代の国際経済において極めて重要であり、特に日本のような海洋国家において、その防衛と安定化は国家の存続に不可欠な要素です。

もう一度検索