機雷戦

機雷戦とは

機雷戦とは、機雷を巡る軍事作戦の総称であり、大きく分けて機雷敷設戦と対機雷戦の二つがあります。

機雷敷設戦

機雷敷設戦は、機雷を開発・生産し、保管した上で、実際に海中に敷設する作戦です。この作戦は、敵の港湾や水路を封鎖する攻勢的機雷敷設戦と、敵の上陸を阻止したり、味方の航路を防御したりする防勢的機雷敷設戦の二つに分類されます。

対機雷戦

対機雷戦は、敷設された機雷から船舶を守るための作戦です。具体的には、機雷防御、機雷を処分する掃海や掃討、敵の機雷の性能や敷設地点を特定する機雷情報収集、そして危険海域を迂回する機雷回避といった活動が含まれます。

日本の機雷戦史

薩英戦争

日本における機雷の使用例として最も古い記録の一つが、薩英戦争です。この戦いで、薩摩藩はイギリス艦隊に対し、桜島と沖小島の間に地上管制式の水雷を敷設しました。しかし、連絡ミスにより、沖小島砲台が誤って発砲したため、イギリス艦隊は敷設地点に近づかず、機雷による攻撃は失敗に終わりました。

日露戦争

日露戦争では、旅順を巡る戦いで、日本とロシアが互いに機雷を敷設しました。日本は、旅順のロシア艦隊を封鎖するために機雷を敷設し、ロシアは、日本の封鎖艦隊を攻撃するために機雷を敷設しました。この機雷戦で、日本は戦艦初瀬と八島を失い、ロシアは戦艦ペトロパブロフスクを失っています。また、日本はウラジオストクのロシア艦隊を封鎖するためにも機雷を敷設しました。

日中戦争

日中戦争中、中国軍は日本軍の行動を妨害するために、沿岸部や揚子江に多数の機雷を敷設しました。日本軍は、揚子江遡江作戦で2,372個、広東攻略戦で300個の機雷を処分しています。

太平洋戦争

太平洋戦争中、日本海軍は港湾防備のために機雷を適宜敷設していました。以下は、太平洋戦争中に日本海軍やアメリカ軍が敷設した主な機雷敷設の記録です。

1942年10月：三陸沖へ対潜機雷敷設開始（1,500個）
1943年11月～1944年10月：津軽海峡東口へ対潜機雷敷設（2,500個）
1944年1月～6月：台湾海峡へ対潜機雷敷設（12,000個）
1944年5月～1945年6月：宗谷海峡へ対潜機雷敷設（2,200個）
1945年3月27日：米軍による「飢餓作戦」開始。B-29による最初の機雷敷設。関門海峡付近に磁気及び音響機雷を敷設。
1945年3月30日：B-29による関門付近、広島・呉及び佐世保への機雷敷設。
1945年4月1日～7月15日：B-29による日本各地への機雷敷設。

アメリカ軍は、1945年3月27日から日本各地の港湾や海峡に、磁気機雷、音響機雷、水圧機雷などを大量に敷設しました。特に、関門海峡は集中的に機雷が敷設され、日本の海上輸送を大きく阻害しました。

太平洋戦争後

終戦後、日本は機雷の掃海作業に大きく取り組みました。

1945年9月18日：海軍省軍務局に掃海部を設置。
1948年1月1日：復員庁の閉庁に伴い掃海業務を運輸省に移管。
1948年5月1日：掃海業務が運輸省から海上保安庁に移管。
1950年6月1日：海上保安庁内に航路啓開本部（掃海部隊）を設置。
1950年10月～12月：朝鮮戦争中に国連軍の指揮下で海上保安庁の日本特別掃海隊が朝鮮半島付近の掃海を実施。元山付近では触雷による沈没事故も発生。
1951年10月8日：日本沿岸の掃海作業の責任が進駐軍から日本政府に移管。
1952年4月26日：海上警備隊設置。
1952年8月1日：保安庁創設。海上警備隊と航路啓開本部は警備隊として統合され、海上保安庁から分離。第二幕僚監部に航路啓開部が新設され、横須賀、函館、西部、呉、大阪、徳山、下関、佐世保、舞鶴、新潟の各航路啓開隊が編成された。掃海船等78隻が海上保安庁から所管換。
1954年：保安庁が防衛庁に移行し、警備隊は海上自衛隊に発展改編。
1978年9月11日：NHKが朝鮮に出動した日本の特別掃海隊についてテレビ放送。
1991年4月26日～10月30日：ペルシャ湾掃海派遣部隊を派遣（湾岸の夜明け作戦）。掃海母艦「はやせ」、補給艦「ときわ」、掃海艇「あわしま」「さくしま」「ゆりしま」「ひこしま」が参加し、34個の機雷を処分。
2000年3月13日：第1掃海隊群及び第2掃海隊群を廃止し、掃海隊群を新編、自衛艦隊に編入。

脚注

本記事は、機雷戦の歴史と概要をまとめたものです。より詳細な情報については、下記の関連項目を参照してください。

関連項目

掃海艇
朝鮮戦争#日本の参加と日本特別掃海隊（1950年）
自衛隊ペルシャ湾派遣（1991年）
機雷
田村久三（海軍省軍務局掃海部長、海上保安庁航路啓開本部長、第二幕僚監部航路啓開部長）
* 自動触発海底水雷ノ敷設ニ関スル条約

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