シーローンチ

シーローンチ（Sea Launch）

シーローンチは、人工衛星を海上から打ち上げる商用サービスを提供する会社で、独自の海上発射システムを備えています。1995年にアメリカ、ロシア、ウクライナ、ノルウェーの企業共同で設立され、最初の打ち上げは1999年に行われました。概念としての海上発射は新しいものではなく、1964年から1988年にかけてイタリアとNASAの共同プロジェクトによってケニア沖のサン・マルコ・プラットフォームからも行われていました。

シーローンチは、海上からの打ち上げにより地理的制約を受けにくく、効率的な衛星軌道投入が可能です。特に赤道近くの海域から打ち上げることで、静止トランスファ軌道に6.1トンのペイロードを送り込むことができます。打ち上げシステムは、司令船「シーローンチ・コマンダー」と、打ち上げプラットフォーム「オーシャン・オデッセイ」の2つの大型船舶で構成されています。

打ち上げプラットフォーム「オーシャン・オデッセイ」は、油田採掘用のプラットフォームを改造したもので、ロケットを直立させて発射するための設備を整えています。一方、司令船「シーローンチ・コマンダー」は、発射制御やロケットの整備を行うための設備を備えています。というわけで、シーローンチの母港はカリフォルニア州ロングビーチです。

経営の歴史としては、2009年に負債を抱えて経営破綻し、その後数年間商業打ち上げが中断されましたが、2011年に復帰しユーテルサット社の衛星を打ち上げています。しかし、その後2016年にロシアのS7グループによって買収され、打ち上げ活動はほぼ凍結状態にあります。現在、シーローンチは運用の再開が待たれています。

シーローンチは、陸上用に改良したゼニットロケットを用いる「ランド・ローンチ」も展開しています。ランド・ローンチは、バイコヌール宇宙基地からの打ち上げを行う子会社です。最初の打ち上げは2008年に成功し、いくつかの商業打ち上げを行いましたが、シーローンチの海上発射とは異なり、より軽量化されたロケットを使用することで、出力能力に制限が見られます。

シーローンチの設立当初、ヒューズ・エアクラフトなどの企業が顧客の提出契約を締結し、事業をスタートさせました。全体的な出資構成は多国籍の企業から成り立っていますが、経営破綻後はロシアの企業が株式を大多数取得し、ロシア資本となっています。

現在のシーローンチにおいては、海上発射のコンセプトや過去の実績は明らかですが、今後の状況には期待が寄せられています。打ち上げの凍結状況が続く中で、再逆転を切り開くための新たな展開が求められています。

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