ジェイミー・マクドネル

ジェイミー・マクドネル



ジェイミー・マクドネル(Jamie McDonnell)は、1986年3月30日にイングランドのサウス・ヨークシャードンカスターで生まれた元プロボクサーです。IBFおよびWBAの世界バンタム級王座を獲得し、特にWBA王座を長期間保持しました。彼には双子の弟であるギャビン・マクドネルがおり、彼もプロボクサーとして活動していました。

プロキャリアの幕開けと国内タイトル



スコットランド系の家庭に生まれたマクドネルは、2005年9月16日に地元ドンカスタードンカスタードームでプロデビューを果たし、6ラウンド判定で勝利を収め、キャリアを白星でスタートさせました。

キャリアを積み重ねる中で、国内主要タイトルの獲得に成功します。2007年2月23日には、再びドンカスタードームでウェイン・ブロイを3ラウンドTKOで破り、BBBofCイングランドバンタム級王座を獲得。しかし、同年12月8日に行われたBBBofC英国スーパーフライ級王座決定戦では、クリス・エドワーズに僅差の判定で敗れ、プロキャリア初黒星を喫しました。

挫折を乗り越え、2010年1月22日にはイアン・ナパを相手に12ラウンド判定で勝利し、BBBofC英国バンタム級王座とコモンウェルスイギリス連邦バンタム級王座の二冠を同時に獲得しました。さらに同年3月20日には、フランスでジェローム・アーノルドと対戦し、10ラウンドTKOで空位のEBU欧州バンタム級王座を手に入れます。

これらのタイトルは、その後も積極的に防衛を重ねました。特にEBU王座は4度の防衛に成功し、国内トップレベルからヨーロッパの強豪へと成長を遂げました。

世界王座獲得と激動の防衛ロード



欧州王座を堅守する傍ら、マクドネルは世界タイトルへの道を切り開きます。2012年10月20日、IBF世界バンタム級挑戦者決定戦でダーウィン・ザモラと対戦。偶然のバッティングによる相手の負傷もありましたが、優位に試合を進め、8ラウンド終了時の棄権により勝利し、世界挑戦権を獲得しました。

そして2013年5月11日、レオ・サンタ・クルスが返上し空位となっていたIBF世界バンタム級王座を巡り、フリオ・セハと対戦。12ラウンドに及ぶ接戦の末、2-0の判定で勝利し、待望の世界王座を獲得しました。

しかし、このIBF王座は長く保持できませんでした。指名挑戦者ヴィシー・マリンガとの対戦が実現しなかったため、同年10月18日に王座を剥奪されてしまいます。

失意から立ち直り、2014年5月31日にはWBA世界バンタム級レギュラー王座の決定戦に出場。タプティムデーン・ナ・ラチャワッと対戦し、10ラウンドTKOで勝利。再び世界王座のベルトを腰に巻きました。

このWBA王座では、IBF時代とは異なり安定した防衛を重ねます。初防衛戦ではハビエル・チャコンの肩の脱臼によるTKO勝利。そして、日本の元WBO世界王者である亀田和毅との対戦は特に注目を集めました。2015年5月9日の初戦は、WBO側が統一戦として認めないという異例の事態を経た上での挑戦者として亀田を迎える形となりました。マクドネルはプロ初のダウンを喫するも盛り返し、判定で勝利し防衛に成功。同年9月6日の再戦でも再び判定勝利を収め、亀田を退けました。

その後も、フェルナンド・バルガスを相手にKO勝利で防衛を重ね、元WBA世界スーパーフライ級王者リボリオ・ソリスとも2度対戦。最初の対戦では判定勝利、2度目の対戦は偶発的なバッティングによる負傷で無判定試合となりましたが、規定により王座防衛が認められ、WBA王座を合計6度防衛するという実績を残しました。

王座陥落、そして引退



7度目の防衛戦として、マクドネルは日本のスター、井上尚弥を挑戦者に迎えます。2018年5月25日に行われたこの試合では、極度の減量苦が指摘されており、試合当日には大幅に体重を戻してリングに上がったものの、初回に井上の猛攻を受けTKOで敗れ、王座から陥落しました。

王座陥落後、2019年6月には復帰戦を行い勝利を収めましたが、私生活では離婚やうつ病などの困難に直面したと報じられました。ボクシングキャリアを通じて得たファイトマネーの多くは消費に費やしていたとされ、建設現場で働きながらトレーニングを続ける時期もあったようです。

そして2021年5月、プロボクサーからの引退を正式に発表しました。波乱万丈なキャリアを歩んだマクドネルは、引退後も困難を乗り越え、新たな人生を進んでいます。

戦績



プロボクシング戦績は35戦30勝(13KO)3敗1分1無効試合です。

主な獲得タイトル



BBBofCイングランドバンタム級王座
BBBofC英国バンタム級王座
コモンウェルスイギリス連邦バンタム級王座
EBU欧州バンタム級王座
IBF世界バンタム級王座
WBA世界バンタム級レギュラー王座

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