ジェイムズ・ハミルトン (初代ハミルトン公爵)

初代ハミルトン公爵ジェイムズ・ハミルトン

初代ハミルトン公爵ジェイムズ・ハミルトン（1606年6月19日 - 1649年3月9日）は、スコットランドの貴族であり、政治家として激動の時代を生きました。彼は清教徒革命（イングランド内戦）において、王党派の主要な人物として活躍しましたが、最終的には議会派のオリバー・クロムウェルに敗れ、処刑されるという悲劇的な結末を迎えました。

生涯

1606年、ジェイムズ・ハミルトンは第2代ハミルトン侯爵ジェイムズ・ハミルトンの長男として生まれました。彼はイングランドのオックスフォード大学エクセター・カレッジで学び、学問を修めました。1625年には父の死により、ハミルトン侯爵やケンブリッジ伯爵などの爵位を継承しました。1628年から1644年まで主馬頭を務め、1630年にはガーター勲章を受章するなど、その地位は確固たるものでした。

三十年戦争においては、スウェーデン王グスタフ2世アドルフの下で3年間戦いました。しかし、イングランドとスコットランドの国内情勢は緊迫化し、チャールズ1世がイングランド国教会をスコットランドに押し付けようとしたことから、スコットランドでは抵抗運動が激化しました。1638年には国民盟約が締結され、チャールズ1世は武力弾圧を試みましたが、資金不足からハミルトン侯爵を交渉役として派遣し、時間稼ぎを図りました。

ハミルトン侯爵は帰国後、国王に盟約派への譲歩を説得しましたが失敗し、国王側近から不信感を持たれるようになりました。1639年の第一次主教戦争では、チャールズ1世と共にスコットランドへ出兵しましたが、盟約派の軍との戦いを避け休戦しました。1643年、ハミルトン公爵に叙爵され、第一次イングランド内戦において、スコットランドが王党派か議会派どちらを支持するかで議論が分かれました。ハミルトン公爵は王党派を支持しましたが、投票で否決され、孤立した彼はスコットランドを離れ、チャールズ1世の下へ逃れることになりました。

その後、彼は国王の不興を買い逮捕され、ペンデニス城やセント・マイケルズ・マウントの要塞へ移送されましたが、1646年に解放されました。王党派が敗北し、スコットランドへ逃れたチャールズ1世はイングランド議会軍に引き渡されました。ハミルトン公爵は、この件についてイングランドを批判し、1648年にチャールズ1世との和解契約に基づき、スコットランド軍や王党派を結集してランカシャーへ侵攻しましたが、オリバー・クロムウェルの反撃に遭い、プレストンの戦いで大敗を喫しました。

敗戦後、ハミルトン公爵は逃亡しましたが、捕らえられ反逆罪で裁判にかけられました。そして、1649年3月9日に死刑判決を受け、処刑されました。享年42歳でした。

ハミルトン公爵の失脚とその後

プレストンの大敗によってハミルトン公爵の派閥は窮地に陥り、政敵であるアーガイル侯爵が台頭しました。アーガイル侯爵はクロムウェルと和睦し、スコットランドは議会派が主導する状態が続きました。しかし、1649年1月にチャールズ1世が処刑され、イングランド共和国が成立すると、アーガイル侯爵は王党派に転じ、スコットランドは第三次イングランド内戦に突入しました。

栄典

ハミルトン公爵は以下の爵位を継承および叙爵されました。

継承した爵位

第3代ハミルトン侯爵
第2代ケンブリッジ伯爵
第5代アラン伯爵
第2代カンバーランド州におけるインナーデール男爵
第6代ハミルトン卿
第2代アダーブロスウィック卿

新規に叙された爵位

初代ハミルトン公爵
初代クライズデール侯爵
初代アラン＝ケンブリッジ伯爵
初代エイヴェン＝インナーデール卿

勲章

ガーター勲章勲爵士(KG)（1630年）

家族

1620年に初代デンビー伯爵ウィリアム・フィールディングの娘マーガレットと結婚し、3人の子をもうけました。

長男：チャールズ・ハミルトン（1630-1640） - 早世
長女：アン・ハミルトン（1632-1716） - 第3代ハミルトン女公爵、初代セルカーク伯爵と結婚
次女：スザンナ・ハミルトン（1638-1694） - 第7代カセルス伯爵と結婚

まとめ

初代ハミルトン公爵ジェイムズ・ハミルトンは、その生涯を通じてスコットランドとイングランドの政治に深く関わり、清教徒革命という激動の時代を駆け抜けました。彼の行動は、当時の複雑な政治情勢と貴族社会の動向を理解する上で重要な事例であり、その悲劇的な最期は歴史の中で記憶されることとなりました。

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