ジェイムズ・ホジソン

ジェイムズ・デイ・ホジソン：激動の時代を生きた政治家・外交官

ジェイムズ・デイ・ホジソン（James Day Hodgson, 1915年12月3日 - 2012年11月28日）は、アメリカ合衆国の政治家、外交官です。リチャード・ニクソン政権下で労働長官（1970-73年）を務め、その後、駐日アメリカ合衆国大使（1974-77年）として日米関係の発展に貢献しました。彼の生涯は、アメリカと日本の両国にとって重要な転換期と重なり、その足跡は今もなお注目されています。

生い立ちとロッキード社でのキャリア

ホジソンはミネソタ州のドーソン市で生まれ、ミネソタ大学を卒業後、1941年にロッキード社に入社しました。第二次世界大戦中はアメリカ海軍に勤務しましたが、戦後はロッキード社に戻り、労務畑でキャリアを積みました。1968年には労使関係担当の副社長にまで昇進し、その卓越した能力を発揮しました。

ニクソン政権への参画と労働長官としての活動

ホジソンの手腕は政界からも注目され、1969年にはニクソン政権の労働次官に任命されました。さらに1970年には、ジョージ・シュルツの後任として労働長官に就任。この際、学生時代からの友人であったヒューバート・ハンフリーとの関係から、民主党から共和党へと党籍を移しました。労働長官として、アメリカの労働政策に重要な役割を果たしました。

駐日アメリカ大使としての活躍とロッキード事件

ニクソン政権の二期目では閣外に去りましたが、ウォーターゲート事件によりニクソン政権への協力を拒否する財界人が増える中、ホジソンは駐日大使のポストを引き受けました。1974年7月15日に駐日アメリカ合衆国大使として着任し、日米関係の深化に尽力しました。1970年代初頭から続いた日米貿易摩擦が一時的に沈静化した「日米無風時代」において、1974年11月のフォード大統領の初訪日や、1975年9月の昭和天皇の初訪米といった歴史的な出来事を実現させました。

しかし、駐日大使在任中、ホジソンはロッキード事件という大きな問題に直面します。この事件は、彼の出身企業であるロッキード社が関与したものでした。1976年2月には、当時自民党幹事長だった中曽根康弘から、アメリカ政府に対し事件のもみ消しを求める要請があったとするホジソンの国務省宛ての公電が発見されました。

ホジソンの報告書には、事件発覚直後の緊迫した状況が記録されています。例えば、事件発覚から5日後には「ワシントンでこれ以上の情報漏洩がなければ、この問題をすぐに鎮静化できるだろう」と報告していました。しかし、その後の検察の捜査により、事件はより複雑化し、日米関係にも大きな影響を与えることになりました。

さらに、ホジソンはP3-C導入についても憂慮していました。ロッキード事件によって、P3-C導入が頓挫することを恐れ、アメリカ政府に対し「事件に関して慎重に対応し、疑惑の政府高官名の公開を遅らせるべきだ」と要請しました。しかし、最終的には資料が三木首相に渡されましたが、P3-Cに関するものは含まれていませんでした。これらの出来事は、ホジソンが日米関係だけでなく、自らのキャリアと倫理の間で葛藤していたことを示しています。

その後と晩年

駐日大使を退任後、ホジソンはウラン鉱山会社パスファインダーマインズコーポレーションの会長を務めました。2012年11月28日、カリフォルニア州マリブの自宅で96歳で死去しました。

著書と参考文献

ホジソンは、以下の著書を残しています。

American Senryu: Verses by a former ambassador (Japan Times, 1992)
Doing Business with the New Japan (2000, Yoshihiro Sano, John L Graham共著)

また、以下の書籍で彼の生涯と業績について言及されています。

* 池井優『駐日アメリカ大使』（文藝春秋［文春新書］, 2001年）

ジェイムズ・デイ・ホジソンの生涯は、日米関係の歴史において重要な一章を刻んでいます。彼の功績と、彼が直面した困難は、現代を生きる私たちにとっても多くの示唆を与えてくれます。

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