ジェネレーションX (バンド)

ジェネレーションX：パンクの枠を超えた輝き

1976年10月21日、イギリスの音楽シーンに新たな旋風が吹き荒れることになるバンドが誕生しました。それがジェネレーションXです。ビリー・アイドル、トニー・ジェイムス、そしてジョン・タウ（後にマーク・ラフに交代）という個性豊かなメンバーによって結成された彼らは、パンク・ロックというジャンルに留まらない多様な音楽性を持ち合わせていました。

ジェネレーションXの出発点は、ジーン・オクトーバー率いるチェルシーからの脱退でした。バンド名はジェーン・デヴァーソン著の社会学の本に由来しており、そのタイトルが彼らの人生観、そして音楽性を象徴することになります。ビリー・アイドルはギターからボーカルへと転向し、ボブ・アンドリュースがリードギターとして加入。1976年12月21日、ロキシーで行われた最初のライブは、彼らの伝説の幕開けを告げました。

初期のジェネレーションXは、クリサリス・レコードと契約し、デビューシングル「ユア・ジェネレーション」を発表。しかし、その後、ジョン・タウが脱退し、元サブウェイ・セクトのマーク・ラフが加入することになります。このメンバー構成で制作された最初の2枚のアルバム、『ジェネレーションX』（1977年）と『人形の谷』（1979年）は、彼らの音楽性を決定づける重要な作品となりました。

ジェネレーションXは、他のパンクバンドとは一線を画していました。メンバー全員のルックスの良さからアイドル的な人気を獲得し、BBCの人気音楽番組『トップ・オブ・ザ・ポップス』に出演するなど、パンクシーンにおいて異彩を放っていました。彼らは、当時のパンクバンドが盲従しがちな「ルール」や「理想」を無視し、1960年代のブリティッシュ・ポップからの影響を取り入れ、独自の音楽性を確立していったのです。ジョン・レノンの「真実が欲しい」をカバーするなど、多様な音楽性を柔軟に取り入れていました。2枚目のアルバム『人形の谷』では、グラムロック時代の人気バンド、モット・ザ・フープルのメンバーであるイアン・ハンターをプロデューサーに迎え、サウンドの幅を広げました。

しかし、順風満帆とは限りませんでした。メンバー間の音楽性の違いは、バンド内部の大きな課題となりました。パンクのルーツに忠実でありたいという思いと、よりヘヴィなロックサウンドを求める願望の間で葛藤し、3枚目のアルバムのレコーディング中にはその対立がピークに達しました。このアルバム『甘い復讐』は、長らく未発表でしたが、後にボックスセットの一部としてリリースされることになります。

1980年には、ボブ・アンドリュースとマーク・ラフが脱退。その後、ザ・クラッシュやカウボーイ・インターナショナルの元ドラマーであるテリー・チャイムズと元チェルシーのギタリストであるジェームズ・スティーヴンソンが加入しました。メンバーチェンジを経て、バンドは最後のアルバム『キス・ミー・デッドリー』（バンド名を"Gen X"と略して発表）をリリース。このアルバムには、『甘い復讐』に収録されていた楽曲の再録音バージョンも含まれており、彼らの音楽遍歴を象徴する作品となっています。特に「ダンシング・ウィズ・マイセルフ」は、後にビリー・アイドルがソロでカバーし、大ヒットを記録することになります。

その後、ビリー・アイドルはアメリカでソロ活動を開始し、世界的なポップスターとしての地位を確立しました。トニー・ジェイムスはジグ・ジグ・スパトニックを結成するなど、精力的に活動を続けました。

ジェネレーションXは、短い活動期間にもかかわらず、パンクシーンに大きな影響を与えました。彼らの音楽は、パンクの枠を超え、後世の多くのアーティストにインスピレーションを与え続けています。日本のファンにも愛され、1979年には日本公演も行われています。彼らが残した音楽は、今もなお多くの人々の心を捉え続けているのです。

ディスコグラフィー

アルバム

ジェネレーションX (1978)
人形の谷 (1979)
甘い復讐 (1979、2003年リリース)
キス・ミー・デッドリー (1981、Gen X名義)

シングル

ユア・ジェネレーション (1977)
ワイルド・ユース (1977)
レディ、ステディ、ゴー (1978)
キング・ロッカー (1978)
人形の谷 (1979)
フライデイズ・エンジェル (1979)
ダンシング・ウィズ・マイセルフ (1980、Gen X名義)

コンピレーションアルバム

パーフェクト・ヒッツ 1975-81
レディオ1セッションズ
アンソロジー
BBCライヴ
ライヴ

日本公演

1979年

6月25日 東京 東横劇場
6月26日 東京 東横劇場 (昼・夜 2回公演)
* 6月28日 大阪 御堂会館

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