ジェフ・ケンプ

ジェフ・ケンプ：NFLの舞台で活躍した知性派QB

ジェフ・ケンプ（Jeff Kemp）は、1959年7月11日生まれ、カリフォルニア州サンタアナ出身のアメリカンフットボール選手です。ポジションはクォーターバック（QB）。1981年から1991年までの11シーズンに渡り、NFLの舞台で活躍しました。通算で6,230ヤードを獲得、39TDを記録しています。

プロ入りまでの道のり

ケンプは、ダートマス大学時代に、NFLの伝説的なヘッドコーチであるドン・シュラの息子、デビッド・シュラとチームメートでした。大学卒業後、1981年にロサンゼルス・ラムズに入団し、NFLの世界に足を踏み入れました。

ラムズ時代：チャンスを掴み、先発QBへ

ラムズでの最初の3シーズンは、主に控えQBとして過ごしました。しかし、1984年シーズンに転機が訪れます。第3週にエースQBのヴィンス・フェラガモが負傷したため、ケンプに先発出場の機会が巡ってきたのです。当時の彼の年俸は12万5000ドルと、QBの平均年俸30万ドルと比較して決して高くはありませんでしたが、彼はそのチャンスを最大限に活かしました。

ケンプは1984年シーズン、13試合に先発出場し、2,021ヤードを獲得、13TD、7INTの成績を収めました。チームも9勝4敗と大きく勝ち越し、ケンプはラムズの躍進に大きく貢献しました。しかし、ラムズは、ケンプがヘンリー・エラードやロン・ブラウンといったスピードスターを生かしきれていないと判断。翌1985年には、カナディアン・フットボール・リーグで11シーズンのプレー経験を持つディーター・ブロックを獲得し、ケンプは再び控えQBに戻ることになりました。

49ers、シーホークス、イーグルスでのプレー

1986年、ケンプはサンフランシスコ・フォーティナイナーズに移籍し、ジョー・モンタナの控えQBを務めます。モンタナの負傷時には先発QBとして出場し、第2週には古巣のラムズと対戦しました。しかし、この試合では第1Qだけで2インターセプトを喫するなど、苦い結果に終わっています。この年、ケンプは6試合に先発出場を含む10試合に出場し、パス成功率59.5%、1,544ヤードを獲得、11TD、8INTの成績を残しました。

1987年には、スティーブ・ヤングが加入したため、ドラフト指名権とのトレードでシアトル・シーホークスに移籍。1987年には1試合のみの先発出場でしたが、396ヤードを獲得、5TD、1INTの成績を残しました。シーホークスには4年半在籍し、7試合に先発出場、1,735ヤードを投げました。1991年シーズン途中にフィラデルフィア・イーグルスへ移籍し、2試合に先発出場を含む7試合に出場。最終週には、当時14勝1敗と圧倒的な強さを誇っていたワシントン・レッドスキンズを破る殊勲を挙げました。

1992年、ケンプはデビッド・アーチャーとの間で第3QBの座を争いましたが、プレシーズンゲームでのパスの正確性で劣り、ロースターに残ることができませんでした。

人物像と家族

ラムズ時代のヘッドコーチ、ジョン・ロビンソンはケンプを「強肩でクイックネスを備えている」と評しています。また、彼はアメリカンフットボールのオフシーズンには、MBA取得のためペパーダイン大学に通うなど、知的な一面も持ち合わせていました。

ケンプの父、ジャック・ケンプはNFLのQBとして活躍し、後にアメリカ合衆国下院議長などを務めた政治家です。1988年にはアメリカ合衆国大統領選挙で候補者争いを繰り広げ、1996年にはボブ・ドールの副大統領候補となりました。弟のジミー・ケンプもカナディアン・フットボール・リーグでQBとしてプレーしています。

ジェフ・ケンプは、NFLの舞台で確かな実力を見せるとともに、知性と家柄の良さでも注目を集めた、異色のQBでした。

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