ジェミニ10号

ジェミニ10号 (Gemini 10)の概要

ジェミニ10号は、アメリカの有人宇宙飛行計画であるジェミニ計画における10番目の宇宙船で、1966年7月18日に打ち上げられました。このミッションの主な目的は、将来的な月飛行計画に向けた技術開発に寄与することであり、特に軌道上でのランデブーやドッキング、そして船外活動（宇宙遊泳）を行うことでした。

打ち上げとドッキング

ジェミニ10号の打ち上げに先立ち、ドッキングの対象となるアジェナ標的機（GATV-5005）が同じく7月18日20:39:46 UTCにケープカナベラル空軍基地から発射されました。このアジェナ標的機の正確な軌道を維持することで、ジェミニ10号とのスムーズなドッキングが可能となったのです。この後、ジェミニ10号はタイタンII GLVロケットで、同日の22:20:26 UTCに発射されました。

打ち上げ後は軌道修正に時間がかかりましたが、約6時間後には無事アジェナ標的機とのドッキングに成功しました。このドッキング状態のまま、アジェナのエンジンを利用して遠地点763km、近地点294kmの新しい軌道に変更されました。さらに、7月19日20:58 UTCには78秒間のエンジン噴射を行い、新しい遠地点382km近地点294kmの軌道に調整することができました。

船外活動と実験

ミッションでは、乗員のマイケル・コリンズが1回目の船外活動を行い、ハッチ部分まで出て重要な写真撮影を行いました。この活動は主に撮影作業に集中し、その後アジェナ標的機（GATV-5005）から分離して、過去にジェミニ8号とドッキングしたアジェナ標的機（GATV-5003）へと接近しました。約3メートルまでの距離に接近しました。

打ち上げから48時間41分が経過した後、コリンズは再び船外活動を行いました。このとき、彼は命綱を付け、宇宙銃を使ってGATV-5003へ移動しようとしましたが、掴み所がなく面倒な作業となったのです。最終的には、GATV-5003に装着されていた微小隕石収集装置を回収し、無事にジェミニ宇宙船に戻ることができました。

さらにこのミッションでは、様々な実験が実施され、いくつかは宇宙線に関連するものでした。これらの成果は、今後の宇宙探査の基礎研究として重要な意味を持っています。

着水と回収

ミッション終了の際、ジェミニ10号は打ち上げから70時間10分後に逆噴射を行い、大気圏再突入に備えました。最終的にはフロリダ半島沖の大西洋上に着水し、強襲揚陸艦ガダルカナルから5.6kmの距離で回収されました。アメリカ国防総省もこのミッションの支援を行っており、合計9,067名の人員が動員され、航空機78機、艦艇13隻が派遣されました。

現在の展示

現在、ジェミニ10号はカンザス州のカンザス宇宙圏・宇宙センターにて保管・展示されています。このミッションは、将来的な宇宙探査に向けた重要な一歩となり、多くの技術の蓄積がなされた歴史的な出来事です。

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