強襲揚陸艦

強襲揚陸艦の概要

強襲揚陸艦（きょうしゅうようりくかん）は、海兵隊や陸軍の部隊を上陸させるために設計された艦船の一つです。元は全通飛行甲板を持つヘリコプター揚陸艦（LPH）を指していましたが、後にウェルドックを持つLHA（Landing Helicopter Assault）やLHD（Landing Helicopter Dock）などもこのカテゴリに含まれるようになりました。この艦船は、海上から陸上への迅速な展開が求められる現代の戦争において極めて重要な役割を果たしています。

歴史的背景

大日本帝国陸軍において、海軍の航空母艦とは異なる形で、上陸戦主任の特殊船が構想されました。これらは、上陸用舟艇や航空機の両方を搭載し、敵陣に対する攻撃や偵察を行うための艦船として設計されていました。1934年には「神州丸」が完成し、続く1942年には「いあきつ丸」が全通飛行甲板をを持つ発展型として登場しました。しかし、同艦は護衛空母的な運用が多く、その可能性を最大限に活かすことができませんでした。

一方、アメリカ海軍も試行錯誤を繰り返し、LST-1級戦車揚陸艦に飛行甲板を設けるなどの取り組みを行いましたが、構造上の課題から実際の運用には限界がありました。

LPHの誕生

アメリカ海兵隊は、ヘリボーン戦術を利用した水陸両用作戦の有効性を模索し、そのための艦船としてヘリコプター揚陸艦（LPH）の開発が進められました。初めて実際に建造されたのは、1958年度から1966年度にかけて建造されたイオー・ジマ級7隻です。この艦船は、ヘリコプターの運用能力を強化しつつ、上陸用舟艇の運用能力も持ち合わせていました。

LPHの後には、LHAやLHDが登場し、これらは全通飛行甲板とウェルドックの二つの機能を併せ持つことで、一層の戦略的柔軟性を提供しました。1969年度から建造されたタラワ級は、これらの要素を統合したことで、従来の艦船よりもはるかに大きな能力を持つこととなりました。

近年の動向

近年、アメリカ海軍はSPA（短距離離着陸機能を持つ空母）としての強襲揚陸艦の実験も行っており、特にタラワ級ではAV-8B攻撃機やSH-3ヘリコプターを搭載した実績があります。これに加えて、ワスプ級やアメリカ級では、F-35Bを搭載することで、より進化した空母的な運用が検討されています。この中で、ウェルドックは削減される一方で、航空機の運用能力が強化されるなど、海兵隊にとって重要な役割を果たす艦船へと進化しています。

外国の発展

アメリカ国外でも強襲揚陸艦の開発が進められています。ロシアはタラワ級を参考にした11780型揚陸艦を設計しましたが、実現には至っていません。フランスやイギリスでも、専用のヘリコプター揚陸艦が建造され、海上作戦での活用が進められています。スペイン海軍や中国人民解放軍でも、より大型の全通甲板型強襲揚陸艦を設計し、独自の航行能力を高める方針が見られます。

このように、強襲揚陸艦は、時代とともに進化を続け、各国にとって不可欠な戦闘資産となっています。

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