ジェミニ4号

ジェミニ4号：アメリカ初の宇宙遊泳と長期滞在への挑戦

ジェミニ4号は、アメリカ合衆国のジェミニ計画における重要なミッションの一つであり、1965年6月3日に打ち上げられました。このミッションは、アメリカ初の宇宙遊泳、複数日にわたる宇宙滞在、そしてタイタンII GLVロケット第二段とのランデブー飛行という、複数の重要な目的を持っていました。これらの試みは、将来の月飛行計画に向けた技術開発において、大きな意味を持っていました。

ミッションの概要

ジェミニ4号の打ち上げは、ケープカナベラル空軍基地LC-19発射台から行われ、その様子は通信衛星を通じてヨーロッパにも中継されました。打ち上げは成功し、宇宙船は近地点162.3km、遠地点282.1kmの軌道に投入されました。このミッションのために、ヒューストンには新しい管制センターが設けられ、長期滞在に対応するため、管制官が三交代制で勤務しました。

ランデブー試験の試み

軌道上では、タイタンII GLVロケット第二段を標的としたランデブー試験が行われました。しかし、宇宙空間では目視による距離感が掴みづらく、軌道姿勢制御システム(OAMS)を用いた接近操作は困難を極めました。結果として、ランデブーは断念されました。

アメリカ初の宇宙遊泳

ランデブー試験の後、いよいよ宇宙遊泳の準備が始まりました。当初は軌道周回2週目に行われる予定でしたが、ランデブー試験の疲労を考慮し、3週目に延期されました。キャビンの減圧後、命綱と宇宙銃を装備したエドワード・ホワイト飛行士が船外へ出ました。彼は宇宙船から約5m離れ、いくつかの運動を行い、15分40秒後に船内へ帰還しました。ハッチの開閉に問題が発生したため、2度目の宇宙遊泳は行われませんでした。

多岐にわたる試験・実験

ジェミニ4号では、合計11個の試験・実験が行われました。放射線測定、六分儀を用いた航法、地球の写真撮影、医学的実験など、多岐にわたる分野でのデータ収集が行われました。特に、南大西洋異常帯の詳細な調査や、宇宙船の静電荷測定、電子-陽電子の観測などは、今後の宇宙開発に貴重な情報をもたらしました。

大気圏再突入と帰還

軌道周回48週目にIBM製のコンピュータが故障したため、大気圏再突入時の姿勢制御が困難となりました。そのため、部分的に揚力を用いた制御性の高い再突入は断念され、宇宙船の揚力発生を抑えるために、ロール回転を行いながら再突入を実施しました。高度3,230mで主パラシュートが開傘し、フロリダ半島沖の大西洋上に着水しました。飛行時間は4日を超え、アメリカ合衆国の宇宙飛行としては当時最長となりました。乗員はヘリコプターによって航空母艦ワスプに回収されました。

ミッションの意義とその後

ジェミニ4号は、アメリカ初の宇宙遊泳を成功させただけでなく、長期宇宙滞在における様々な課題を明らかにし、その解決策を探る上で重要な役割を果たしました。このミッションで得られた経験とデータは、アポロ計画をはじめとするその後の宇宙開発に大きく貢献しました。現在、ジェミニ4号はワシントンD.C.の国立航空宇宙博物館に展示されており、その歴史的な功績を今に伝えています。

搭乗員

船長：ジェームズ・マクディヴィット
パイロット：エドワード・ホワイト


ジェミニ4号は、アメリカの宇宙開発における重要な一歩であり、その成果は今日の宇宙探査に繋がっています。

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