エドワード・ホワイト

エドワード・ヒギンズ・ホワイト2世（Edward Higgins White, II, 1930年11月14日 - 1967年1月27日）は、アメリカ空軍の軍人であり、アメリカ航空宇宙局（NASA）の宇宙飛行士として、その名を歴史に刻みました。

身長180cm、体重80kgと恵まれた体格を持ち、1965年6月3日にはアメリカ人初の宇宙遊泳を成し遂げました。しかし、その輝かしいキャリアは、アポロ1号の訓練中の悲劇的な事故によって、突然終わりを告げます。

生涯

テキサス州サンアントニオで生まれたホワイトは、幼少期からボーイスカウトに所属し、リーダーシップと冒険心を育みました。1952年には陸軍士官学校で学士号を取得、1959年にはミシガン大学で航空工学の修士号を取得しています。その後、アメリカ空軍に入隊し、F-86やF-100といった戦闘機のパイロットとして活躍。中佐にまで昇進し、航空システム部門のテストパイロットとして3000時間以上の飛行時間を記録しました。彼は、パイロットとしての卓越した技能と知識を兼ね備えていたのです。プライベートでは、Patricia Finegan Whiteと結婚し、二人の子供、Bonnie LynnとEdward IIIを授かりました。

NASAでのキャリア

1962年、ホワイトはNASAの宇宙飛行士第二期生として選抜されました。ジェミニ4号のパイロットとして、1965年6月3日、アメリカ人初の宇宙遊泳を成功させます。この歴史的な偉業は、宇宙開発における新たな一歩を記すものでした。しかし、宇宙遊泳中に予備の耐熱グローブが宇宙船から離脱し、スペースデブリとなるというアクシデントも発生しました。その後、ジェミニ7号のバックアップクルーも務めています。

さらに、ホワイトはアポロCMS飛行システムの専門家でもありました。ジェミニ計画の通常の流れであれば、ジェミニ10号の指揮官パイロットを務めるはずでしたが、1966年に昇進し、アポロ1号の司令船パイロットに任命されました。

突然の死

1967年1月27日、フロリダ州のケネディ宇宙センターで、アポロ1号の訓練中に発生した火災により、ホワイトはガス・グリソム、ロジャー・チャフィーとともに命を落としました。この事故は、アメリカの宇宙開発における大きな悲劇となり、安全対策の見直しを迫る契機となりました。ホワイトは、ウェスト・ポイント墓地に埋葬されました。死後、その功績を称えられ、1997年には合衆国名誉宇宙飛行士勲章が授与されました。また、2009年7月には「航空の殿堂」入りを果たし、その偉大な功績が永遠に語り継がれることになりました。

功績と遺産

ホワイトの功績は、アメリカの宇宙開発の歴史において重要な位置を占めています。彼の勇気と献身は、多くの人々に影響を与え、後進の宇宙飛行士たちの模範となりました。彼の名前は、各地の学校や施設に付けられ、その功績が今も称えられています。例えば、シカゴのEdward H. White Career Academy、サンアントニオのEdward H. White Middle School、エルラーゴのEd White Elementary School、リーグシティのEd White Memorial High School、ジャクソンビルのEdward H. White Senior High School、ハンツビルのEd White Middle School、バージニアビーチのKemps Landing Magnet Schoolなどがあります。

他にも、セントピーターズバーグにはEdward White Hospital、フラトンにはEdward H. White II Park、ロングビーチ沖には人工島Island Whiteが存在します。また、マーズ・エクスプロレーション・ローバーの着陸地点であるコロンビアメモリアルステーションの北西には、White Hillという丘が名付けられています。さらに、アメリカ人初の宇宙遊泳を記念した記念切手が1967年9月に発行されたことは、彼の功績が社会的に広く認知されていた証でしょう。

映画やドラマの中でも彼の姿は描かれており、1995年の映画『アポロ13』ではスティーブン・ルーゲが、1998年のドラマ『フロム・ジ・アース/人類、月に立つ|フロム・ジ・アース_人類、月に立つ』ではクリス・アイザックが、2018年の映画『ファースト・マン』ではジェイソン・クラークがそれぞれホワイトを演じました。これらの作品を通して、彼の業績は後世に語り継がれています。

エドワード・ヒギンズ・ホワイト2世は、アメリカの宇宙開発の歴史に燦然と輝く星であり、その勇気と献身は、今もなお多くの人々の心を捉えて離しません。

もう一度検索