ジェンダー・ギャップ指数

ジェンダー・ギャップ指数（GGI）とは？

ジェンダー・ギャップ指数（GGI）は、世界経済フォーラムが毎年発表する『世界ジェンダー・ギャップ報告書』で使用される指標です。経済、教育、政治参加、健康という4分野の14項目を基に、世界各国の男女間の不平等を数値化します。スコアは0～1で表され、1に近いほど男女間の平等度が高いことを示します。この指数は、国際機関が提供するデータに基づいて算出され、多くの国の状況を比較することができます。

日本の現状と課題

近年、日本のGGIの順位は低迷しており、G7諸国の中でも最下位となっています。2020年には過去最低の121位（153カ国中）、2021年には120位（156カ国中）、2022年には116位（146カ国中）と、改善の兆しが見られません。

分野別に見ると、「教育」と「健康」分野では比較的高い評価を得ている一方、「政治参加」と「経済」分野では深刻な課題を抱えています。政治における女性の比率の低さや、経済活動における女性の機会の不足などが、低順位の原因として挙げられます。日本の社会構造や文化的な要因も、この状況に影響していると考えられます。

GGIに対する批判

GGIは、男女間の相対的なパフォーマンスを比較する指標であり、必ずしも男女両方の状態が良いことを意味するわけではありません。例えば、ある国で女性の社会進出が進んでいるように見える一方で、男性の失業率が高く貧困に苦しんでいるという可能性も考えられます。

実際、ルワンダやニカラグアなどの国はGGIで高い順位に位置していますが、その背景には、女性の経済的自立を余儀なくさせるような社会経済状況が潜んでいる可能性が指摘されています。また、アフリカ諸国においては、自営や農業が中心的な経済活動であるため、女性の労働力参加率は高いものの、その地位は脆弱であるという問題も指摘されています。

さらに、GGIは政治・経済分野の比重が高く、健康分野では出産リスクや寿命の長さといった重要な要素が考慮されていないという批判もあります。誘拐婚や、少女を国王の伴侶に選ぶ儀式が行われている国よりも低い順位となっていることからも、GGIの指標の妥当性について疑問の声が上がっています。

GGIと他の指標との比較

GGI以外にも、国連開発計画（UNDP）が発表する「ジェンダー不平等指数（GII）」や「ジェンダー開発指数（GDI）」といった、男女間の不平等を測る指標が存在します。これらの指標は、GGIとは異なる視点から男女間の格差を分析しており、それぞれの指標の長所と短所を理解することが重要です。

日本の場合は、GGIでは低順位である一方、GIIでは比較的高い順位に位置しています。この違いは、指標が用いる項目や、重視する側面の違いによるものです。GGIは政治・経済分野を重視するのに対し、GIIは健康や教育分野の状況を重視している点が挙げられます。

まとめ

ジェンダー・ギャップ指数（GGI）は、世界各国の男女間の不平等を測る上で重要な指標の一つです。しかし、その指標の算出方法や結果の解釈には注意が必要であり、他の指標と比較しながら総合的に判断することが重要です。日本の現状を改善するためには、政治参加と経済分野における女性の地位向上を促進するための具体的な政策の実施が不可欠です。また、社会全体でジェンダー平等意識を高めるための啓発活動も重要になります。さらに、GGIのような国際比較指標の限界を認識し、より包括的な視点から男女平等の実現に向けた取り組みを進めることが求められます。

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