ジェンマブ

ジェンマブA/Sは、デンマーク・コペンハーゲンに本社を置くバイオテクノロジー企業です。世界的な医薬品市場において、革新的な抗体医薬品の開発・商業化を通じて、大きな存在感を示しています。特に、慢性リンパ性白血病や多発性骨髄腫といった血液がん治療薬の開発においては、先駆的な役割を果たしています。

その歴史は1999年にまで遡ります。アメリカを拠点とする企業からのスピンオフという形で設立されたジェンマブは、設立当初からモノクローナル抗体研究に注力しました。高い技術力と革新的な研究開発は、すぐに業界の注目を集め、数々のベンチャー投資を引き寄せました。

設立から間もなく、大手製薬企業との提携関係を積極的に構築していきます。2001年には、スイスのロシュ社と提携。2002年には、慢性リンパ性白血病治療薬であるオファツムマブの開発に着手します。その後、イギリスのグラクソ・スミスクライン社とも提携を結び、共同開発を進めていきます。オファツムマブは2009年にアメリカで承認され、グラクソ・スミスクライン社により販売が開始されました。翌年には欧州連合でも承認を取得し、世界的な治療薬として広く使用されるようになりました。

ジェンマブの成功はオファツムマブだけにとどまりません。2015年には、多発性骨髄腫治療薬であるダラツムマブがアメリカで承認されました。販売権はジョンソン・エンド・ジョンソン社が取得し、世界規模での販売展開が開始されました。翌年には欧州連合でも承認を取得しています。

これらの成功は、ジェンマブが世界的な医薬品企業との緊密な連携を築き、高度な研究開発能力を有していることを証明しています。ロシュ社、グラクソ・スミスクライン社に加え、アムジェン社、ルンドベック社など、数多くの製薬企業との提携関係を維持し、継続的な研究開発と医薬品の提供を実現しています。

ジェンマブの事業拠点は、コペンハーゲン本社に加え、オランダのユトレヒト、アメリカのニュージャージー州、そして日本にも展開されています。2019年に設立された日本法人、ジェンマブ株式会社は、東京ミッドタウン・タワーにオフィスを構え、日本の医療業界との連携を強化しています。日本においては、協和発酵キリン株式会社とバイスペシフィック抗体に関する共同研究を2012年以降継続的に実施し、新たな治療薬の開発に貢献しています。

ジェンマブは、革新的な抗体医薬品の開発を通じて、世界中の患者に貢献し続けています。今後も、グローバルなパートナーシップと高度な技術力を活かし、医療技術の進歩に大きく貢献していくことが期待されています。ナスダック・コペンハーゲンにも上場しており、その企業価値は世界的に高く評価されています。

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