ジェームス・カークランド
ジェームス・カークランド（James Kirkland）は、1984年3月19日、アメリカ合衆国テキサス州オースティンで誕生した元プロボクサーです。そのキャリアは、リング上での破壊的なパフォーマンスと、リング外での度重なるトラブルという、二つの側面によって特徴づけられています。
強力な左ストレートを主武器とするサウスポーのハードパンチャーとして知られ、「倒し屋」（The Mandingo Warrior）の異名を持ちました。元WBCアメリカ大陸スーパーウェルター級王者という実績を残しましたが、そのボクシング人生は多くの期間、法的な問題によるキャリア中断に見舞われました。
リング外での素行は決して模範的なものではありませんでした。過去には強盗罪で少年院に送致された経験があり、プロキャリアにおいても、2009年3月の試合後には武装強盗で逮捕され、約2年間刑務所に収監されました。また、同年には銃の不法所持、2013年には家庭内暴力といった容疑でも逮捕され、再び刑務所へ送られています。これらの収監は、選手としての最も脂が乗る時期のキャリアを大きく阻害する要因となりました。
トレーナーとの関係も不安定でした。プロデビューから指導を受けていた元女子プロボクサーのアン・ウルフとは、離れたり戻ったりを繰り返し、その間にはケニー・アダムスやボブ・サントスといった他のトレーナーに師事した時期もあります。
アマチュア時代からその才能は注目されていました。全米ジュニアオリンピックでは、後の世界王者ノニト・ドネアに敗れはしたものの、銀メダルを獲得しています。全米選手権やナショナル・ゴールデングローブといった主要な大会でも上位に進出しており、146戦134勝12敗という好戦績を残しました。
2001年8月25日にプロへ転向すると、その強打を存分に発揮します。デビュー戦を3回TKOで飾って以来、「倒し屋」の名にふさわしいKOの山を築き上げました。最初のタイトル挑戦を迎えるまでの戦績は、21戦全勝（18KO）という圧倒的なものでした。
しかし、この快進撃は一度目の収監によって中断されます。2003年に武装強盗で逮捕され、約2年間の服役を余儀なくされました。刑期を終え、2006年4月に約2年半ぶりにリングへ戻ると、こちらも3回TKO勝利で復帰戦を飾ります。
再び勝利を重ね、2008年5月17日にはナイジェリアのエロモシール・アルバートとNABO北米スーパーウェルター級王座決定戦に臨み、初回わずか66秒でTKO勝利。プロ初タイトルを獲得しました。同年11月には、ブライアン・ベラとのホープ対決を制し、その評価を高めます。
2009年3月にはホエル・フリオと対戦。タフな相手に対し、フリオの負傷による6回TKO勝利を収めました。
しかし、この直後の2009年4月、再び人生の暗転が訪れます。銃の不法所持で逮捕され、2003年の事件の執行猶予中であったことが響き、懲役2年の実刑判決が下され、再び刑務所へ収監されました。
2010年9月に釈放され、社会復帰施設での生活を経て、2011年3月5日に約2年ぶりのリングへ戻ります。復帰戦を初回KO勝利で飾りますが、翌月4月9日、元WBA世界スーパーウェルター級暫定王者である日本の石田順裕と対戦し、まさかの初回3度ダウンによるTKO負けを喫します。キャリア初の敗北であり、大方の予想を覆す波乱の結果となりました。試合後のインタビューでのコメントが観衆のブーイングを浴びる一幕もありました。
失意から立ち直り、2011年6月にはデニス・シャープに初回TKO勝利で再起を飾ります。
再起2連勝の後、2011年11月5日には、元WBO世界スーパーウェルター級暫定王者アルフレド・アングロとの激闘に臨みます。WBCアメリカ大陸スーパーウェルター級王座決定戦として行われたこの試合は、初回にアングロの右フックでダウンを奪われる苦しいスタートとなりましたが、驚異的な粘りを見せて凌ぎきり、ラウンド終盤にダウンを奪い返します。激しい打ち合いは続き、両者消耗する中、6回に連打でアングロを追い込み、レフェリーストップによるTKO勝利。見事王座を獲得しました。
2012年3月24日、WBCアメリカ大陸王座の初防衛戦でカルロス・モリーナと対戦。ポイントでリードを許す苦しい展開となりますが、最終10回終了間際にダウンを奪いました。しかし、この際にモリーナ陣営のセコンドがリングに不正に入ったとして、モリーナが失格負けとなり、カークランドが勝利を収める形となりました。このレフェリーの判断については、ラウンド終了直前の出来事であったことから、議論を呼びました。
その後、新星サウル・アルバレスとの対戦が予定されていましたが、自身の肩の負傷により中止となります。
そして2013年6月、家庭内暴力の容疑で逮捕され、テキサス州の刑務所に3度目の収監となりました。この間に、ゴールデンボーイプロモーションズとの契約問題を解決し、50セント率いるSMSプロモーションズと契約を締結しています。
約1年9ヶ月のブランクを経て、2013年12月7日に復帰。無敗のホープ、グレン・タピアを6回TKOで下し、再び勝利を飾りました。
しかし、またしても長期間のブランクが発生します。2015年5月9日、約1年5ヶ月ぶりの試合として、ついにサウル・アルバレスと対戦。この試合は155ポンドのキャッチウェイトで行われました。攻撃的な姿勢を見せたカークランドですが、アルバレスの精度の高い攻撃に対応できず、初回にダウンを奪われます。そして3回には2度のダウンを喫し、最後は意識を失うほどの強烈なKO負けとなりました。
キャリア晩年にも法的な問題は続きました。2016年8月には養育費未払いなどで逮捕、保釈されています。2017年にはミゲール・コットとのビッグマッチが予定されていましたが、試合直前にトレーニング中の鼻骨骨折により中止となり、これが事実上、彼のキャリアの終焉となりました。
プロ戦績は37戦34勝（30KO）3敗。アマチュア時代の146戦134勝12敗と合わせ、通算でも高い勝率とKO率を残しています。リング上でのエキサイティングなファイトとは対照的に、度重なる不祥事と収監によって、そのポテンシャルを完全には開花させきれなかったボクサーと言えるでしょう。
強力な左ストレートを主武器とするサウスポーのハードパンチャーとして知られ、「倒し屋」（The Mandingo Warrior）の異名を持ちました。元WBCアメリカ大陸スーパーウェルター級王者という実績を残しましたが、そのボクシング人生は多くの期間、法的な問題によるキャリア中断に見舞われました。
リング外での素行は決して模範的なものではありませんでした。過去には強盗罪で少年院に送致された経験があり、プロキャリアにおいても、2009年3月の試合後には武装強盗で逮捕され、約2年間刑務所に収監されました。また、同年には銃の不法所持、2013年には家庭内暴力といった容疑でも逮捕され、再び刑務所へ送られています。これらの収監は、選手としての最も脂が乗る時期のキャリアを大きく阻害する要因となりました。
トレーナーとの関係も不安定でした。プロデビューから指導を受けていた元女子プロボクサーのアン・ウルフとは、離れたり戻ったりを繰り返し、その間にはケニー・アダムスやボブ・サントスといった他のトレーナーに師事した時期もあります。
アマチュア時代からその才能は注目されていました。全米ジュニアオリンピックでは、後の世界王者ノニト・ドネアに敗れはしたものの、銀メダルを獲得しています。全米選手権やナショナル・ゴールデングローブといった主要な大会でも上位に進出しており、146戦134勝12敗という好戦績を残しました。
2001年8月25日にプロへ転向すると、その強打を存分に発揮します。デビュー戦を3回TKOで飾って以来、「倒し屋」の名にふさわしいKOの山を築き上げました。最初のタイトル挑戦を迎えるまでの戦績は、21戦全勝（18KO）という圧倒的なものでした。
しかし、この快進撃は一度目の収監によって中断されます。2003年に武装強盗で逮捕され、約2年間の服役を余儀なくされました。刑期を終え、2006年4月に約2年半ぶりにリングへ戻ると、こちらも3回TKO勝利で復帰戦を飾ります。
再び勝利を重ね、2008年5月17日にはナイジェリアのエロモシール・アルバートとNABO北米スーパーウェルター級王座決定戦に臨み、初回わずか66秒でTKO勝利。プロ初タイトルを獲得しました。同年11月には、ブライアン・ベラとのホープ対決を制し、その評価を高めます。
2009年3月にはホエル・フリオと対戦。タフな相手に対し、フリオの負傷による6回TKO勝利を収めました。
しかし、この直後の2009年4月、再び人生の暗転が訪れます。銃の不法所持で逮捕され、2003年の事件の執行猶予中であったことが響き、懲役2年の実刑判決が下され、再び刑務所へ収監されました。
2010年9月に釈放され、社会復帰施設での生活を経て、2011年3月5日に約2年ぶりのリングへ戻ります。復帰戦を初回KO勝利で飾りますが、翌月4月9日、元WBA世界スーパーウェルター級暫定王者である日本の石田順裕と対戦し、まさかの初回3度ダウンによるTKO負けを喫します。キャリア初の敗北であり、大方の予想を覆す波乱の結果となりました。試合後のインタビューでのコメントが観衆のブーイングを浴びる一幕もありました。
失意から立ち直り、2011年6月にはデニス・シャープに初回TKO勝利で再起を飾ります。
再起2連勝の後、2011年11月5日には、元WBO世界スーパーウェルター級暫定王者アルフレド・アングロとの激闘に臨みます。WBCアメリカ大陸スーパーウェルター級王座決定戦として行われたこの試合は、初回にアングロの右フックでダウンを奪われる苦しいスタートとなりましたが、驚異的な粘りを見せて凌ぎきり、ラウンド終盤にダウンを奪い返します。激しい打ち合いは続き、両者消耗する中、6回に連打でアングロを追い込み、レフェリーストップによるTKO勝利。見事王座を獲得しました。
2012年3月24日、WBCアメリカ大陸王座の初防衛戦でカルロス・モリーナと対戦。ポイントでリードを許す苦しい展開となりますが、最終10回終了間際にダウンを奪いました。しかし、この際にモリーナ陣営のセコンドがリングに不正に入ったとして、モリーナが失格負けとなり、カークランドが勝利を収める形となりました。このレフェリーの判断については、ラウンド終了直前の出来事であったことから、議論を呼びました。
その後、新星サウル・アルバレスとの対戦が予定されていましたが、自身の肩の負傷により中止となります。
そして2013年6月、家庭内暴力の容疑で逮捕され、テキサス州の刑務所に3度目の収監となりました。この間に、ゴールデンボーイプロモーションズとの契約問題を解決し、50セント率いるSMSプロモーションズと契約を締結しています。
約1年9ヶ月のブランクを経て、2013年12月7日に復帰。無敗のホープ、グレン・タピアを6回TKOで下し、再び勝利を飾りました。
しかし、またしても長期間のブランクが発生します。2015年5月9日、約1年5ヶ月ぶりの試合として、ついにサウル・アルバレスと対戦。この試合は155ポンドのキャッチウェイトで行われました。攻撃的な姿勢を見せたカークランドですが、アルバレスの精度の高い攻撃に対応できず、初回にダウンを奪われます。そして3回には2度のダウンを喫し、最後は意識を失うほどの強烈なKO負けとなりました。
キャリア晩年にも法的な問題は続きました。2016年8月には養育費未払いなどで逮捕、保釈されています。2017年にはミゲール・コットとのビッグマッチが予定されていましたが、試合直前にトレーニング中の鼻骨骨折により中止となり、これが事実上、彼のキャリアの終焉となりました。
プロ戦績は37戦34勝（30KO）3敗。アマチュア時代の146戦134勝12敗と合わせ、通算でも高い勝率とKO率を残しています。リング上でのエキサイティングなファイトとは対照的に、度重なる不祥事と収監によって、そのポテンシャルを完全には開花させきれなかったボクサーと言えるでしょう。
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