ジェームス・ティエン

ジェームズ・ティエン：香港アクション映画史に名を刻んだ名優

ジェームズ・ティエン（田俊、James Tien、1942年5月28日 - ）は、20世紀後半の香港映画界を代表する俳優の一人です。数々のカンフー映画、アクション映画に出演し、ブルース・リー、ジャッキー・チェン、サモ・ハン・キンポーといった巨匠たちと共演を果たしました。彼のキャリアは、香港映画黄金期の隆盛と深く関わっており、その存在は香港映画史に欠かせないものです。

1942年、中国広東省で生まれたティエンは、1958年に家族とともに香港へ移住しました。その後、台北の国立台湾戯曲学院で演劇を学び、俳優としての基礎を築きます。

1960年代初頭、ショウ・ブラザーズに入社。その後、1969年にロー・ウェイ監督作品で初の大役を射止めます。ショウ・ブラザーズで経験を積んだ後、1970年代初頭にはゴールデン・ハーベストに移籍。この転機が彼のキャリアを大きく変えました。

ゴールデン・ハーベスト移籍後、すぐにブルース・リー主演作『ドラゴン危機一発』（1971年）に出演。リーのいとこ役を演じ、世界的なスターとの共演を果たしました。翌年には『ドラゴン怒りの鉄拳』（1972年）にも出演し、リーの盟友としてその名を広く知らしめました。

1974年、ジョン・ウー監督作品『ジャッキー・チェンの秘龍拳／少林門』で、ジャッキー・チェン、サモ・ハン・キンポー、ユン・ピョウと初共演。後に「ゴールデン・トリオ」と呼ばれるこの3人と共演できたことは、ティエンにとって大きな転換点となりました。この共演をきっかけに、ティエンはアクション映画界でさらに重要な存在となっていきます。

1970年代後半以降は、サモ・ハン・キンポーやジャッキー・チェンの監督作品に多数出演。脇役や悪役として、作品に深みとリアリティを与え続けました。『少林寺怒りの鉄拳』（1977年）、『クレージーモンキー 笑拳』（1979年）など、数多くの名作に出演し、その存在感は増すばかりでした。

ティエンのキャリアは1990年代まで続き、アンディ・ラウの作品にも出演しました。そして、1996年の『運財五福星』を最後に俳優業から引退しました。

彼の出演作品は、香港カンフー映画の隆盛期を象徴するものです。ブルース・リー、ジャッキー・チェン、サモ・ハン・キンポーといった巨匠たちとの共演作は、ティエンのキャリアにおける輝かしい足跡であり、香港映画史においても重要な作品として高く評価されています。

ジェームズ・ティエンは、華麗なるキャリアを通して、香港映画、そして世界のアクション映画史に貢献しました。脇役として数々の作品を支え、名優としての地位を確立した彼の功績は、これからも語り継がれていくでしょう。彼の存在は、香港映画黄金時代の活気に満ちた時代を彷彿とさせる、まさに時代を彩った名優と言えるでしょう。

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