ジェームズ・クラーク・マクスウェル望遠鏡

ジェームズ・クラーク・マクスウェル望遠鏡 (JCMT) について

ジェームズ・クラーク・マクスウェル望遠鏡（James Clerk Maxwell Telescope、JCMT）は、ハワイ島のマウナケア山頂に設置された電波望遠鏡です。この望遠鏡は、ミリ波およびサブミリ波の電磁波を観測するために設計されており、天文学研究において重要な役割を果たしています。特にサブミリ波観測においては、単一の鏡を持つ望遠鏡として世界最大級の口径を誇り、その高い観測能力によって、数々の天文学的発見に貢献してきました。

概要

JCMTは、直径15メートルのパラボラアンテナを備えており、このアンテナがミリ波やサブミリ波の電波を捉えます。1987年の運用開始から2015年2月までは、イギリス、カナダ、オランダの共同出資によるJoint Astronomy Centre (JAC) が運営を行っていましたが、2015年3月からは東アジア天文台が運営を引き継ぎました。この運営体制の変更は、JCMTが国際的な協力体制のもとで運用されていることを示しています。

望遠鏡の性能

主反射鏡

JCMTの主反射鏡は、直径15メートルという巨大なサイズを誇ります。この反射鏡の平均表面誤差は30マイクロメートルと非常に小さく、高精度な観測を可能にしています。また、ホモロガス変形法を採用することで、重力による変形を最小限に抑え、観測精度を維持しています。

架台

JCMTの架台は経緯台式を採用しています。これにより、天体を水平・垂直方向に追尾することが可能です。天体追尾精度は1.5秒角と非常に高く、正確な観測を支援します。観測可能な天体高度は5度から87度までと幅広く、さまざまな天体を観測対象とすることができます。

設置場所

JCMTは、北緯19度49分33秒、西経155度28分47秒、海抜4,092メートルという高地に設置されています。マウナケア山頂は、大気が乾燥しており、電波望遠鏡にとって理想的な環境です。標高が高いため、大気による電波の吸収や歪みが少なく、クリアな観測データが得られます。

観測装置

JCMTには、複数の観測装置が搭載されており、さまざまな波長帯での観測が可能です。

受信機

RxA: 215 - 270 GHzの周波数帯を観測できる1画素のSIS受信機。
HARP: 325 - 375 GHzの周波数帯を観測できる16画素のSIS受信機。
RxW: 315-375 GHz または 630-710 GHz の周波数帯を観測できる受信機。

ボロメータアレイ

SCUBA (Submillimetre Common-User Bolometer Array): 450マイクロメートルおよび850マイクロメートルの波長を観測できるボロメータアレイです。450マイクロメートルで91画素、850マイクロメートルで37画素を持っています。

また、SCUBAの後継装置として、450マイクロメートルと850マイクロメートルの2波長帯でそれぞれ1万画素を持つSCUBA-2の開発が進められており、より高精度かつ広範囲な観測が期待されています。

天文学への貢献

JCMTは、その高い観測能力を活かし、星や惑星の誕生、銀河の進化、宇宙の構造など、さまざまな天文学研究に貢献してきました。特に、サブミリ波帯での観測は、低温のガスや塵で構成される天体を捉えるのに適しており、これらの天体の形成過程を理解する上で重要なデータを提供しています。

関連情報

天文学: JCMTは、天文学の中でも電波天文学の分野に属しています。
望遠鏡: JCMTは、電波望遠鏡の一種であり、その技術は他の電波望遠鏡の開発にも影響を与えています。

外部リンク

James Clark Maxwell Telescope
JACのJCMTサイト（ウェブアーカイブ）

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