ジェームス・チャンス・アンド・ザ・コントーションズ

ジェームス・チャンス・アンド・ザ・コントーションズ（James Chance and the Contortions）は、アメリカの音楽シーンにおいて重要な役割を果たしたバンドです。中心人物であるジェームス・チャンスは、ウィスコンシン州からニューヨークに移住し、1977年にこのバンドを結成しました。彼らのスタイルは、シーンを代表するノー・ウェイヴの一翼を担うもので、尋常ならざるライブパフォーマンスによって知られています。

バンドは、ニューヨークのライブハウス「アーティスト・スペース」で、DNAやマーズなど、他の先鋭的なアーティストと共に積極的に活動を行っていました。そのライブでは、チャンスは観客席に直接降りて行き、観客を殴るという破天荒な行動が目立ちました。これこそが彼のアートに対する過激な姿勢を如実に示すものであり、その激しいパフォーマンスが観客に強い印象を与えていました。

彼らの活動は注目を浴びることになり、ブライアン・イーノからの提案で、ノー・ウェイヴのコンピレーションアルバム『ノー・ニューヨーク』に参加することが決定しました。1978年のこのアルバムには、他にもティーンエイジ・ジーザス・アンド・ザ・ジャークスやDNA、マーズといったアーティストが参加しており、ノー・ウェイヴのムーブメントを象徴する作品として評価されています。

1979年にはコントーションズ名義で初のアルバム『バイ』をリリースしましたが、興味深いことにそのアルバムにはジェームス・チャンスの名前はクレジットされていませんでした。この作品が出る頃には、チャンスと他のメンバーの間には緊張感が高まり始めており、彼は自身の別プロジェクト「ジェームス・ホワイト・アンド・ザ・ブラックス」に取り組み始めます。この名義でも彼は様々なアルバムを発表し続け、ついにはコントーションズから独立した形となります。

チャンスは、マネージャーであるアニヤ・フィリップスと共にコントーションズのメンバーに対し批判の声を上げ、それが原因でメンバー編成が頻繁に変わるなど、バンドの継続的な結束には困難が伴いました。1980年代の初めになると、活動は一時休止を余儀なくされました。

しかし、2001年にオリジナルメンバーで期間限定の再結成を果たし、「All Tomorrow's Parties」という音楽フェスに二度参加し、またその姿を見せました。彼らの音楽はいかなるスタイルにも収まらない創造的な実験性を持ち、時代を超えてリスナーに強い影響を及ぼしています。

ディスコグラフィ

- 『ノー・ニューヨーク』 - No New York (1978年) これが与えた影響は計り知れません。
- 『バイ』 - Buy (1979年) コントーションズ名義の初アルバム。
- 『ライヴ・イン・パリ1980』 - Paris 1980 Live Aux Bains Douches (1980年) ライブアルバム。
- Live in New York (1981年)
- 『ソウル・エクソシズム』 - Soul Exorcism (1991年)
- Lost Chance (1995年)
- Molotov Cocktail Lounge (1996年)
- Incorrigible! (2011年)
- The Flesh is Weak (2016年)

このように、ジェームス・チャンス・アンド・ザ・コントーションズは、音楽における挑戦と革新を追求し続けたバンドであり、その影響は現代においても色あせることはありません。

もう一度検索