ジェームズ・メレディス

ジェームズ・メレディス：公民権運動の転換点となった人物

ジェームズ・メレディス（1933年6月25日生まれ）は、アメリカ合衆国の公民権運動において重要な役割を果たした人物です。彼は、ミシシッピ大学に初めて入学したアフリカ系アメリカ人学生として、人種差別の壁に立ち向かいました。彼の行動は、当時のアメリカ社会に大きな波紋を広げ、公民権運動の歴史における転換点となりました。

生い立ちと軍務

1933年、ネイティブアメリカンとアフリカ系アメリカ人の間に生まれたメレディスは、高校卒業後、1951年から1960年まで軍務に服しました。その間、彼は日本の立川基地に派遣され、兵役を経験しました。アメリカでは、兵役経験者には大学入学の権利が与えられており、メレディスもこの権利を行使してジャクソン州立大学で2年間学びました。

ミシシッピ大学への入学と暴動

メレディスはその後、ミシシッピ大学への入学を希望しましたが、二度にわたり拒否されました。しかし、1962年6月11日、彼はついにミシシッピ大学初の黒人学生として入学を果たしました。この入学は、当時のロス・バーネット州知事の反対や、大学内での激しい暴動（「ミシシッピ大学暴動」）を引き起こしました。ジョン・F・ケネディ大統領は、この事態を収束させるために連邦軍を派遣せざるを得ませんでした。

暴動では、フランス人ジャーナリストを含む2名が死亡し、48名の兵士と30人の連邦保安官が負傷しました。メレディスの行動は、公民権運動における歴史的転換点として認識されています。彼は1963年8月18日に歴史学の学位を取得し、同大学を卒業しました。

公民権運動への貢献

メレディスは、ミシシッピ大学入学後も公民権運動に積極的に参加しました。彼は、「恐怖に抗する行進」を指揮し、1966年6月6日には狙撃され負傷しました。この時の写真は、後にピューリッツァー賞を受賞しています。

その後の人生

ミシシッピ大学卒業後、メレディスはさらにナイジェリアの大学やコロンビア大学で学び、コロンビア大学では法律の学位を取得しました。1960年代末には公民権運動から距離を置き、株式市場のブローカーとなりました。また、彼は自らの経験を振り返る書籍『ミシシッピでの3年間』を執筆しました。熱心な共和党員として、上院議員の下で働いた経験も持ちます。彼は、公民権運動の仲間から批判を浴びた時期もありましたが、自身の信念を貫き、共和党員として下院議員に数回立候補しています。

結婚と家族

1956年3月、メレディスはメアリー・ジューン・ウィギンスと結婚し、3人の子供をもうけました。メアリーは1979年に心不全で亡くなりました。その後、メレディスはジュディ・アルソブルックスと再婚し、2人の子供を授かりました。現在、メレディス夫妻はミシシッピ州ジャクソンに住んでいます。

現在と回顧

2002年、ミシシッピ大学での差別廃止40周年を迎えた際、メレディスはミシシッピ州ジャクソンで中古車置き場を経営していました。彼は自身を「公民権運動家」とはみなさず、アメリカ市民として当然の権利を求めたと語っています。また、「公民権」という考え方自体に侮辱を感じており、それに固執することは二級市民でいることと同じだと述べています。

CNNのインタビューでは、自身を「戦争に参加した」と表現し、連邦政府が軍を派遣せざるを得ない状況を作り出すことが目的だったと語っています。

まとめ

ジェームズ・メレディスは、人種差別が根強かった時代に、自身の権利を主張し、公民権運動の進展に大きく貢献した人物です。彼の勇気ある行動は、アメリカ社会に大きな変革をもたらし、後世に大きな影響を与え続けています。

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