ジェーン海軍年鑑

ジェーン海軍年鑑について

ジェーン海軍年鑑（Jane's Fighting Ships）は1898年に創刊された、イギリスで発行されている軍艦に特化した年鑑です。当初は『All the world's fighting ships』というタイトルで始まりましたが、取扱い分野が徐々に広がり、現在では『ジェーン年鑑（Jane's Yearbook）』の一部として位置付けられています。

発刊の背景

創刊から毎年発行が続けられており、出版元はIHS Markit社で、英語の本文は各国の海軍に配備されている艦船の性能や装備に関する情報をまとめています。この年鑑は艦艇の基礎的な情報源として広く知られ、軍事施設や研究機関、さらには出版物においても、しばしば引用される重要な資料です。

進化と広がり

創刊当初は主に軍艦のみを対象にしていましたが、1909年には航空機を扱った『Jane's all the world's aircraft』が発刊されるなど、扱いジャンルが多様化していきました。これにより、軍艦に特化した年鑑は『Jane's Fighting Ships』という名称で別冊として発刊されるようになりました。

データの信頼性と偏り

イギリスでの発刊であるため、西側諸国、特に欧米に関する情報は非常に詳細です。しかし、アジア諸国のデータには誤記が見られる場合もあり、特に艦船名の誤りが散見されます。また、冷戦時代の影響で旧東側諸国に関する記述も実態と異なることがあります。1990年代の終わりには、ロシア海軍の艦艇数が著しく減少し、その結果多くの艦艇が不正確に記述される事態が発生しました。これは後に修正されましたが、実際の艦艇の状況が反映されないこともありました。

入手困難な状況

最近では、CDやマイクロフィルムとしても入手可能ですが、内容の増加やカラー化に伴って価格が上昇してきました。為替の影響もあり、現在では一冊が10万円を超えることも珍しくなく、個人が入手するのは非常に困難になっています。この影響で、取扱いを中止する書店も増え、入手がさらに難しくなる悪循環が生まれています。

2019年には公式サイトからの直接購入も可能となり、例えば『Fighting Ships Yearbook 19/20』の日本向け価格は1,570米ドルとなっていました。

まとめ

ジェーン海軍年鑑は、風変わりな歴史と進化を経て、軍艦情報の信頼性ある情報源となっています。その詳細なデータは、研究者や愛好者にとって欠かせない資料であり、今なお多くの人々に利用されています。

もう一度検索