ジエタノールアミン

ジエタノール[アミン]の概要

ジエタノール[アミン]は、二級アミンの一種であり、2つのヒドロキシエチル基が窒素原子に結合した構造を持つ有機化合物です。略称としてDEAがよく用いられます。分子内には2つのヒドロキシ基を持つため、ジオールとしての性質も併せ持ちます。他のアミンと同様に、弱塩基性を示すのが特徴です。

別名としては、ビス(ヒドロキシエチル)アミン、ジエチロールアミン、ヒドロキシジエチルアミン、ジオールアミン、2,2'-イミノジエタノールなど、様々な呼び名があります。

DEAの用途

DEAとその誘導体は、様々な工業製品の成分として広く利用されています。特に、化粧品やシャンプーなどのパーソナルケア製品では、クリーム状の粘稠性や泡立ちの向上に効果を発揮するため、一般的な成分として配合されています。代表的な誘導体として、ラウリルアミドジエタノールアミンやヤシ油ジエタノールアミドなどが挙げられます。

DEAの高い水溶性は、製造工程における利便性をもたらします。反応後、水洗によって容易に除去できるため、製品への残留リスクを低減できます。

DEAの製造方法

DEAは、酸化エチレンとアンモニア水溶液を反応させることで製造されます。この反応では、モノエタノールアミンやトリエタノールアミンも副生成物として生成されます。生成物の比率は、原料の配合比を調整することで制御可能です。

DEAの化学反応

DEAは、他の化合物との反応にも利用されます。例えば、モルホリンは、DEAを硫酸を用いて脱水することで合成されます。

DEAの安全性

DEAおよびその誘導体については、発がん性リスクに関する懸念が一部で指摘されています。その理由の一つとして、DEAのアミノ基が、化粧品の製造工程においてニトロソアミン類（N-ニトロソジエタノールアミンなど）に変化する可能性があることが挙げられます。ニトロソアミン類は強力な発がん性を有する化合物として知られています。

しかしながら、マウスを用いた実験においてDEAの発がん性が確認された事例がありますが、これはコリン欠乏による影響であるとの報告もあります。コリン欠乏およびそれに伴う発達障害は、ヒトにおいては通常起こらないと考えられているため、現在、DEAは一般的に安全であるとみなされています。

ただし、DEAは吸湿性を持つため、保管には注意が必要です。使用目的によっては、乾燥剤を用いたデシケーターでの保管が推奨されます。

まとめ

ジエタノール[アミン]は、様々な工業製品、特に化粧品などに幅広く利用される有用な有機化合物です。その高い水溶性や、クリーム状の感触、泡立ちを向上させる特性は、製品の機能性向上に貢献します。安全性については、発がん性リスクに関する懸念も指摘されていますが、ヒトへの影響は限定的と考えられています。DEAを使用する際には、その性質や取り扱いに関する情報を十分に理解した上で、適切な管理を行うことが重要です。

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