ジゴンダス

フランス南東部、ヴォクリューズ県に位置するジゴンダスは、のどかな田園風景が広がる人口約600人の小さな村です。オレンジの町から東へ少し行ったところにあり、その穏やかな佇まいからは想像もつかないほどのワイン生産量を誇っています。

ジゴンダスの村の面積の4割以上はブドウ畑が占めており、まさにワインと深く結びついた村と言えるでしょう。温暖な気候と、傾斜のある地形がブドウ栽培に適しており、古くからワイン造りが盛んに行われてきました。

ジゴンダスを世界的に有名にしているのは、なんといっても「ジゴンダスAOC」というワインです。AOCとは、フランスの原産地呼称統制制度による、ワインの品質と原産地を保証する証です。ジゴンダス村だけで生産されるこのAOCワインは、1971年に認定を受け、以来、その品質の高さから高い評価を獲得し続けています。

ジゴンダスAOCワインの圧倒的な特徴は、その生産量です。年間なんと500万本ものワインが出荷されており、単一村落としては非常に大きな生産量を誇ります。そのほとんどが赤ワインですが、ロゼワインも少量生産されています。

赤ワインに使われるブドウ品種は、グルナッシュが中心です。グルナッシュは、力強く、芳醇な香りと、濃厚な味わいが特徴の品種です。ジゴンダスの赤ワインは、グルナッシュの個性を最大限に引き出すように、シラーやムルヴェードルといった品種をブレンドすることで、複雑で奥行きのある味わいを生み出しています。それぞれのブドウ品種が持つ個性が絶妙に調和し、ジゴンダス独特の芳香と、力強くも繊細な味わいを醸し出しているのです。

ジゴンダスのワインは、その力強さと複雑さから、熟成にも適しています。若いワインのフレッシュで果実味あふれる味わいを愉しむのも良いですが、数年寝かせたワインを飲むことで、より複雑で奥深い味わいを楽しむことができます。

ジゴンダス村は、ワイン生産だけでなく、その歴史や文化も魅力です。石造りの家々が立ち並ぶ美しい村並みは、訪れる人々を魅了します。穏やかな気候と、美しい自然、そして何よりも美味しいワインが楽しめるジゴンダスは、フランス南東部を旅する際にはぜひ訪れたい場所です。

ちなみに、ジゴンダス出身の著名人には、実業家のジャック・ニコレ氏がいます。

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