ジビルチャルトゥン

ジビルチャルトゥン遺跡の概要

ジビルチャルトゥン（Dzibilchaltún）は、メキシコのユカタン州に位置する重要なマヤ遺跡です。この遺跡は、先古典期からスペイン人の到来までの長い歴史を有しており、周辺地域の文化や信仰、生活様式を理解する上で不可欠な場所とされています。現地ではツィビルチャルトゥンと呼ばれることもあります。

立地と歴史的背景

ジビルチャルトゥンは、州都メリダの北側にあり、メキシコ湾の海岸から約20キロメートル南に位置しています。この地理的条件により、遺跡は製塩と農業が可能な環境に恵まれていたことが推測されています。遺跡の成立は形成期に始まり、スペイン人が到来するまで長きにわたり人々に利用され続けました。

遺跡内で見られる主要な建造物は、古典期後期に建設されたものが多いですが、後古典期にも古い建物が再利用されたり、新たに建設された建物も存在します。特にセノーテ（Cenote Xlacah）は、この遺跡の中心的な存在であり、古代の人々にとって水の供給源であるとともに、重要な宗教的な信仰の場所でもありました。

セノーテの重要性と信仰

セノーテからは土器や人骨などが発掘されており、これらの発見はその利用法を示しています。このセノーテは、水源だけでなく、何らかの儀式が行われた可能性も示唆しています。遺跡内には約50ヘクタールの面積にわたり、人々が居住していた痕跡があります。

建造物の多様性

ジビルチャルトゥンの大広場には、多様な建物が点在しており、それぞれが時代ごとの思想や文化を反映しています。先古典期後期の土器、古典期後期の石碑、さらには16世紀にフランシスコ会が設立したキリスト教会の遺構も含まれています。特に注目すべきは、南側に位置する建物44で、この巨大な建物は長さ120メートル、35の入口を有し、地域コミュニティのための施設であったと考えられています。

また、他の発掘で王の火葬用の壺が発見され、周囲からは鹿の骨が出土されています。壺には「Kalom 'Uk'uw」という王の名が刻まれており、同様の名が840年の石碑にも記されていることから、起源や信仰の深さを示しています。

遺跡の発掘と研究

ジビルチャルトゥンの遺跡は1950年から1965年にかけて、テュレーン大学によって詳細に調査されており、その結果、東側に位置する「7つの人形の神殿」と名付けられた建物の地図も作成されました。この神殿は、後世に建設されたピラミッドの下に存在していたことが分かっており、太陽の神殿と見なされています。

このように、ジビルチャルトゥンは古代マヤ文明の貴重な遺産であり、その重要性は今もなお語り継がれています。遺跡を訪れた人々は、その壮大な歴史と文化の痕跡に触れることができるでしょう。

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